188校が参加した神奈川大会。その校数の多さだけでなく、多くの有名校がズラリと揃う。
そんな激戦区で、春の関東大会準優勝の横浜は、大会前から本命視されていた。そのプレッシャーをものともせず、第1シードで2回戦から登場した横浜は、以下の通りきっちりと勝ち上がってきた。
2回戦 8対0(向の岡工)
3回戦 12対0(松陽)
4回戦 10対0(相模原中等教育)
5回戦 2対0(向上)
準々決勝 16対3(横浜隼人)
準決勝 8対4(桐光学園)
決勝 9対3(慶應義塾)
(※カッコ内は対戦校)
決勝では、準々決勝で昨夏の王者・東海大相模を11対2のコールドで撃破し勢いに乗っていた慶應義塾を受け止めて、押し切った。
エースの藤平尚真は、150キロ近いストレートに、横に変化するスライダー、120〜130キロ台のフォークを駆使する本格派の右腕。
決勝でも、強力な慶應義塾打線を6回まで無失点の好投を見せた。7回に連打を浴び3点を失ったが、6回終了時点で8対0と点差が開いていたことも影響したのかもしれない。サウスポーの石川達也も安定している。
打線も、神奈川大会7試合中6試合で8得点以上を記録しているように強力。決勝で2安打2打点と活躍した4番の村田雄大を中心にまとまっている。
大会後半は出番がなかったが、3回戦の松陽戦では本塁打を含む3打数2安打とあふれるポテンシャルの一端を垣間見せた190センチ92キロの大型1年生・万波中正も、話題となりそうだ。
甲子園で数々の栄光の記録を残してきた横浜は、松坂大輔(ソフトバンク)、涌井秀章(ロッテ)、成瀬善久(ヤクルト)といった好投手から、筒香嘉智(DeNA)、多村仁志(中日)らスラッガーまで、総勢60人以上をプロ野球界に送り込んでいる。
7月31日のロッテ対楽天では、7回無失点で今季9勝目をマークした涌井が、ヒーローインタビューで「後輩たちが甲子園出場を決めてくれたので、刺激になりました」と、その好投の要因を語る。
横浜の夏の甲子園出場は、2013年以来3年ぶり(センバツは2014年に出場するも初戦敗退)。3年前は、浅間大基、高濱祐仁(いずれも日本ハム)らを主力とし、初戦で丸亀を7対1で破ったものの、2戦目の前橋育英に1対7で敗れている。
果たして、この夏は前評判どおりの活躍ができるかどうか。その戦いぶりに、多くの高校野球ファンが注目しているはずだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)