週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

《都道府県別ベスト&ワースト》勝率1位は高知!? 出場回数、優勝回数、勝率などから見るセンバツ


 3月19日に開幕する第89回選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)。雨天中止などの順延がなければ、3月30日の決勝戦まで、12日間に渡って熱戦が繰り広げられる。

 そこでセンバツをより楽しく観戦するために、今回から2回に渡って「都道府県別」の勝利数や優勝回数などのランキングを「ベスト&ワースト3方式」でお届け。

 意外な事実もわかったりもするので、楽しみながら読み進めていただきたい。

出場回数のベスト&ワースト3は?


 まずは基本的なところから「出場回数」のベスト3とワースト3を発表。

■出場回数ベスト3
1位 兵庫:149回
2位 大阪:143回
3位 東京:121回

■出場回数ワースト3
1位 新潟:12回
1位 山形:12回
3位 佐賀:14回

 ベスト3のランキングでは、兵庫と大阪の地元・関西勢がワンツーフィニッシュ。3位の東京を20回以上引き離した。さすが甲子園のお膝元らしく「2強」の威厳を保った。

 気になるのは、PL学園を始め浪商(現・大体大浪商)、北陽(現・関大北陽)、上宮、大阪桐蔭、履正社と途切れることなく甲子園常連校が生まれる大阪を上回って1位になった兵庫。今センバツも神戸国際大付と報徳学園の2校が出場するが、その底力や恐るべし。

 一方、日本海側の新潟と山形が1、2位を締めたワースト3。次点は出場15回の富山ということを考えると、今でこそ地域格差が少なくなったといわれるが、やはり雪の影響や出場枠の事情(東北、北信越ともに2枠)が、出場回数の少なさに大きく影響しているものと思われる。

 ただ、山形は勝率ベースで見ると47都道府県のなかで27位となる勝率.455(10勝12敗)と健闘。2005年には初出場の羽黒がベスト4進出と、ワースト3のなかでは唯一4強に入ったこともある。今センバツには代表校を送り込めなかったが、山形代表が出場してきた際には注目したい。

勝ち数だけでは測れない強さ=勝率を見てみる!


 続いては「勝率」のベスト&ワースト3を見ていきたいが、その前に勝率の土台ともいうべき基礎数となる「勝ち星」ランキングからいってみよう。

■勝ち星ベスト3
1位 大阪:189勝
2位 愛知:166勝
3位 兵庫:165勝

 出場回数ランキングのベスト3に入っていた大阪と兵庫が、ここでもランクイン。単純に勝ち星の数を競うなら、出場回数の多い都道府県が有利になる。ただ、そうはいっても、しっかり勝ちきれるあたりはさすがだ。

 また、2位には東海地方きっての野球どころ、愛知がランクイン。1930年代に東邦商(現・東邦)、愛知商、中京商(現・中京大中京)が優勝してから現在まで、高校野球界の最前線でしのぎを削ってきた強豪県の面目躍如となった。

 では、勝ち星をもとに勝率のベスト3を算出すると、さぁどうなる?

■勝率ベスト3
1位 高知:.610(146試合:89勝57敗)
2位 愛知:.606(277試合:166勝108敗3分)
3位 岐阜:.600(111試合:66勝44敗1分)

 ベスト3は、愛知を残して1位と3位の顔ぶれが変わった。

 高知は明徳義塾(24勝)、高知商(23勝)、高知(18勝)が、愛知は中京大中京(55勝)、東邦(51勝)、愛工大名電(16勝)、享栄(12勝)が、岐阜は県岐阜商(48勝)が主に白星を稼いでいる。

 今センバツでは岐阜の高校は出場を逃したが、高知は明徳義塾、愛知は至学館が出場。さらなる勝率アップに期待がかかる。

 なお、勝ち星と勝率のワースト3は以下の通り。

■勝ち星ワースト3
1位:新潟:3勝
2位:佐賀:6勝
3位:富山:7勝

■勝率ワースト3
1位 新潟:.200(15試合:3勝12敗)
2位 島根:.262(42試合:11勝31敗)
3位 滋賀:.291(56試合:16勝39敗1分)

 新潟は先述した出場回数に加えて、勝ち星も勝率もワースト1位になってしまった。

 しかし、夏の甲子園ではここ10年間で23試合13勝10敗と勝ち越し中。準優勝、ベスト4、ベスト8がそれぞれ1回と頂点をうかがうところまで実力をつけてきた。センバツでも、これから勝ち星を積み重ねていけば「負のイメージ」を払拭することができるはずだ。

 滋賀からは滋賀学園が出場するが、2勝すればワースト3から脱却となる。なかなかの大仕事だが、佐賀は出場校がないので、成し遂げられるかに注目だ。


優勝回数と優勝率はどうだ!?


 最後に着目したのは「優勝」に関するベスト3。「優勝回数」とあわせて「優勝率」を調べてみた。

■優勝回数ベスト3
1位 愛知:10回(出場118回/優勝率:.084)
2位 大阪:9回(出場143回/優勝率:.062)
3位 兵庫:6回(出場149回/優勝率:.040)
3位 神奈川:6回(出場55回/優勝率:.109)

■優勝率ベスト3
1位 神奈川 .109(出場55回/優勝:6回)
2位 徳島 .092(出場54回/優勝:5回)
3位 沖縄 .088(出場34回/優勝:3回)

 優勝回数を見ると、愛知と大阪がやや抜けた格好だ。

 今センバツでは、大阪は昨秋の明治神宮大会で優勝した履正社と、甲子園常連校の大阪桐蔭がスタンバイしているので、優勝回数で愛知に並ぶことも十分考えられる。

 愛知は出場校の至学館がどれだけ健闘できるか。もしも優勝できたら初出場初優勝の快挙だが、愛知の強豪私立を次々とサヨナラ勝ちで破り、東海2枠の狭き門をくぐり抜けてきただけに実力は十分。強豪県の底力を見せてほしい。

 「優勝回数÷出場回数」で算出した「優勝率」となると、優勝回数ベスト3からは神奈川だけがランキングに残るという結果に。

 その理由を考えてみよう。愛知、大阪、兵庫の出場回数は100回を超えているが、神奈川は55回と少ない。そして、横浜が優勝率.200(出場15回/優勝3回)、東海大相模が.222(出場9回/優勝2回)と優勝率を押し上げている。そのため、優勝率2位にとどまったというわけだ。

 愛知は優勝率ベスト3からはこぼれたが、優勝率.084(優勝10回)と高い率をキープ。出場118回にしてこの数字は、驚異的だ。

 なお、神奈川の高校は残念ながら今センバツの出場を逃した。神奈川の快進撃は来年以降の楽しみとしておこう。


これまでとは一味違うセンバツの楽しみ方


 最後はマニアックな話になったが、都道府県別のデータで見るセンバツはいかがだっただろうか?

 イメージ通りのところもあれば、思っていたのと違うという部分もあったはず。ただ、少し目線を変えてみれば、各都道府県の勝ち星争いなど、たどってきた歴史、地域性などが浮き彫りになり、一味違った楽しみ方ができるはずだ。

 多くの高校野球ファンが応援したくなるのは、自分の出身地や、現在住んでいるところの代表校だと思うが、今大会はランキング上位・下位の地域の代表にも注目してみてほしい。

(※戦前、戦中の台湾代表の記録は、上記の記録からは除く)


文=森田真悟(もりた・しんご)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方