日本で活躍するバレンティン(ヤクルト)が4番、バンデンハーク(ソフトバンク)がエースとして参加したオランダ。大会のダークホースと目されたチームは、バレンティンの大爆発もあり、2大会連続のベスト4。実力をあらためて知らしめた。
WBCではベストナインに輝いたバレンティンだったが、シーズンに入ると調子が上がらない。開幕戦で2安打を放ったものの、期待されている本塁打は5月10日にようやく4本目。3本目を打った4月16日から1カ月弱、一発が出なかった。
前回WBC後の2013年シーズンはNPB歴代1位の60本塁打を放ったが、そのペースには遠く及ばない。同じくWBCに出場後に調子を落としていたチームメイトの山田哲人は調子を上げてきた。バレンティンも打率は.290と上向いてきただけに、本塁打の量産態勢に入ることを期待したい。
バンデンハークは開幕から2連敗。エースとしての最低限の役割である6回を投げきることができず、連敗スタートとなった。
その後、3勝2敗、防御率2.52と盛り返してきたが、昨季までに比べると、やや物足りない。WBCの疲労が影響しているのか。それとも3年目に入り、相手チームに対策を立てられたのか。日本一奪回のためにもエースの投球を見せてほしい。
■バレンティン(ヤクルト)の成績
35試合:打率.290/4本塁打/15打点
■バンデンハーク(ソフトバンク)の成績
6試合:3勝2敗/投球回35.2回/奪三振31/与四死球14/防御率2.52
4人のNPB所属選手が参加したメキシコ代表。監督も日本球界経験者のエドガー・ゴンザレス(元巨人)ということもあり、親近感を持って応援した野球ファンも多かったことだろう。煩雑な「失点率」の解釈をめぐる混乱で、プレーオフ進出が発表された後に、1次ラウンド敗退となったのは残念だった。
先発投手として参加したメンドーサ(日本ハム)は1試合のみの登板だったこともあり、ペナントレースでは大きな影響は出ていない。4月1日の初登板で勝利投手となってから勝ち星に恵まれていないが、5回を2、3失点程度に抑える試合が多く、試合は作っている。日本ハム打線が温まってきたので、勝ち星を伸ばしたい。
「寿司ボーイ」ことレアード(日本ハム)は開幕直後こそ打率1割台と低迷したが、4月半ばから本塁打も量産し、打率も2割台半ばに乗せてきた。5月12日、13日のロッテ戦では日本タイ記録となる4打数連続本塁打。一気にパ・リーグの本塁打ランキング1位に躍り出た。チームに勢いを呼び、ファンを勇気づけている。
開幕から好調の楽天で4番に君臨するアマダー(楽天)。なかなか調子が上がらず、5月に入るとスタメンを外れる日も出てきたものの、5月10日、11日のロッテ戦で2本塁打。楽天の強力打線のなかで、梨田昌孝監督がアマダーをどのように器用していくのか。その采配に注目したい。
クルーズ(巨人)は外国人選手枠の問題もあり1軍での出場がない。マイコラス、カミネロ、マシソンの投手陣、そして主軸・マギーとの外国人枠争いに勝ち、1軍昇格をつかむことができるか。
■メンドーサ(日本ハム)の成績
6試合:1勝2敗/投球回31.2/奪三振27/与四死球15/防御率3.69
■レアード(日本ハム)の成績
35試合:打率.246/11本塁打/25打点
■アマダー(楽天)の成績
29試合:打率.217/4本塁打/14打点
■クルーズ(ロッテ)の成績
1軍出場なし
カナダ代表としてWBCに出場したマシソン(巨人)。巨人では例年通り、セットアッパーとして活躍している。開幕序盤こそ2試合連続で失点を喫したものの、ここまで11ホールド、防御率0.98と安定した投球を披露。新守護神カミネロにつなぐ役目を全うし、存在感を発揮している。
一方、ベネズエラ代表のスアレス(ソフトバンク)はWBCで右ヒジを痛め離脱。その後、トミー・ジョン手術を受けた。これによって今シーズン中の復帰は絶望となり、ソフトバンクは中継ぎ陣の再編を余儀なくされた。
■マシソン(巨人)の成績
16試合/0勝0敗/11ホールド/投球回18.1回/奪三振19/与四死球4/防御率0.98
■スアレス(ソフトバンク)の成績
1軍出場なし
過去のWBCで日本と数々の激戦を繰り広げたキューバ。先の大会ではデスパイネ(ソフトバンク)が主砲を担い、打率.474、3本塁打の大活躍を見せた。
昨季、ロッテに所属していたデスパイネは、WBC終了後にソフトバンクへ合流。2015年に長距離砲として活躍した李大浩(現ロッテ・ジャイアンツ/韓国)のような活躍を期待されている。ここまで打率.240と確実性にやや欠けるものの、リーグ2位の9本塁打を放っている。ひとまずは順調といえそうだ。
陽岱鋼(巨人)の知名度もあり、日本の野球ファンにも馴染みの台湾。陽岱鋼は出場辞退したが、WBCにはNPB選手からチェン・グァンユウ(ロッテ)、郭俊麟(西武)、宋家豪(楽天育成)が出場した。
チェン・グァンユウは中継ぎとして2試合に登板後、5月9日の楽天戦で先発。6回無失点の好投を見せ、今季初勝利を挙げた。防御率は1.00と安定している。
しかし、郭俊麟は1軍、2軍ともに出場なし。宋家豪は2軍で6試合に登板して4勝を挙げているものの防御率は5.19。現状では、支配下登録のへ道は厳しい。なお、WBC辞退の陽岱鋼も未だに1軍での出場はない。
■デスパイネ(ソフトバンク)の成績
33試合/打率.237/8本塁打/26打点
■チェン・グァンユウ(ロッテ)の成績
3試合:1勝0敗/投球回9/奪三振5/与四死球5/防御率1.00
■郭俊麟(西武)の成績
1軍出場なし
■宋家豪(楽天※育成)の成績
1軍出場なし
(成績は5月13日現在)
文=勝田 聡(かつた さとし)