【君はこんなもんじゃない・カープ特別編】乗りに乗っている広島を更に加速させるのはこの投手!? 左腕不足のチームを救えるか・戸田隆矢
【君はこんなもんじゃない選手名鑑2014】
※こちらの記事には「野球芸人」アンガールズ・田中卓志さんは出てきません。ご了承ください。
☆九州の逸材に引けを取らない左腕の好素材
2011年の高校野球は九州に逸材が多数存在した。
代表的なところでは、宮崎日大高・武田翔太(ソフトバンク)、唐津商高・北方悠誠(DeNA)、波佐見高・松田遼馬(阪神)…。
そんな中、熊本在住のライター・アストロさんから「樟南のサウスポー・戸田も素晴らしい素材ですよ!」と強い推薦を受けた。あまりの入れ込み具合を受け、当時作っていた雑誌『高校野球小僧2011夏号』の巻頭カラーページでは、武田、北方、松田と並んで大きなスペースを割いて紹介することにした。
当時評価されていたのは、柔軟性とバランスに優れたフォームと、押し引きのできるピッチングセンス。140キロ台に乗せるストレートと、ストレートの軌道からスッと沈むスライダーで三振の山を築いていた。
最後の夏に甲子園でその姿を見ることを楽しみにしていたのだが、残念ながら鹿児島県大会準々決勝で神村学園高に敗れた。7回に一挙7点を奪われ、3対10でのコールド負けだった。
その後、2011年のドラフトでプロ志望届を提出した戸田は、広島から3位指名を受けプロ入りを果たした。
☆広島スカウト陣がこぞって期待する希望の星
『野球太郎No.002』(2012年11月発売)の「スカウト20人に聞きました!」という企画で、こんな設問があった。
「近い将来ブレークしそうな期待の若手を教えてください」
広島は3人のスカウトが企画に協力してくれたのだが、驚くべきことに3人とも同じ回答だった。みな当時ルーキーだった、戸田の名前を挙げたのだ。
「ヒジの柔らかさがあり、前でよく腕を振れる投手。高卒でまだ力強さはないけど、鍛えていけばもっと腕が振れるようになるはずだし、変化球もよくなると思います。5本柱に入ってくるでしょう」(苑田聡彦スカウト部長)
「まだ線が細いけど、ガッチリしていて、下半身も鍛えられてきた。もともと素材はいいので、あとは経験だけ積んでくれれば1軍で投げられるでしょう。気持ちも強いので、そこそこやると思います」(尾形佳紀スカウト)
「自主トレで見ていてすごいなと。今年1年目から投げられたので、来年はまたさらによくなると思います」(鞘師智也スカウト)
……いかにスカウト陣がその将来性を評価し、開花を楽しみにしているかが伝わってくるだろう。
2014年にプロ3年目を迎える戸田隆矢。ここまでプロ入り後の登板は、1年目に1試合(0勝1敗)、2年目に3試合(0勝1敗)の4試合のみ。深刻な左腕不足に陥っているチームは、一刻も早い戸田の台頭を待望している。
スカウト陣が自信を持って推す希望の星は、どんな形で期待に応えるのだろうか? 今からキャンプインが待ち遠しい。
文=菊地選手(きくちせんしゅ)/1982年生まれ。編集者。2012年8月まで白夜書房に在籍し、『中学野球小僧』で強豪中学野球チームに一日体験入部したり、3イニング真剣勝負する企画を連載。書籍『野球部あるある』(白夜書房)の著者。現在は『野球太郎』編集部に所属。
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