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2013年の田中将大を今一度、考察する!

 2013年のプロ野球の顔、と言って間違いない田中将大(楽天)。この1年で勝ち取ったタイトルや表彰を列挙するだけで、その凄さが浮き彫りになる。ざっとおさらいしてみよう。

【田中が今季獲得したタイトル・表彰】
「パ・リーグMVP」満票での獲得はリーグ史上3人目
「最多勝利投手」24勝0敗1セーブ
「最優秀防御率投手」防御率1.27
「勝率第一位投手」24勝で勝率10割はプロ野球史上初

「沢村栄治賞」選考委員会で満場一致
「正力松太郎賞(特別賞)」特別賞は2004年のイチロー以来、二人目
「コミッショナー特別表彰」

「ベストナイン」今年唯一の満票での受賞
「ゴールデングラブ賞」3年連続の受賞
「最優秀バッテリー賞」嶋基宏とともに2回目の受賞

 ……これでもまだほんの一部だ。「宮城県民栄誉賞」や「伊丹市民栄誉賞」など、球界以外からの表彰もあわせると、一説には『23冠』とも言われている。また、「開幕24連勝」、「昨シーズンから28連勝」、「ポストシーズンを含めた30連勝」の3つがギネスに認定されたことも覚えておきたい。

 このように「表彰・タイトル」という点では、ある意味で完璧な成績を残した今季の田中であるが、一部では前回沢村賞を受賞した2011年のときのピッチング内容(19勝5敗)のほうが良かった、という声も聞こえる。

 今年、『週刊野球太郎』で企画した「倍返し! 田中将大を攻略せよ!」のコーナーでも再三述べてきたことだが、今年の田中は「勝ちまくった」というよりも「負けなかった」という表現の方がしっくり来るのだ。それを立証するかのように、今季の田中の投球記録を細かく精査すると、自己ベストを記録できた項目のほうが少ない、という意外な事実が判明する。


Q.勝利数や勝率以外で、田中が自己ベストタイを記録した投球項目は、次のうちどれか。
1.先発完投数
2.奪三振数
3.無四球試合数
4.防御率



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▼ ▼?正解は?▼ ▼

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A.防御率

 今季の田中の防御率は1.27。これは2011年シーズンと並んで自己ベストタイの数字である。それ以外の選択肢は、いずれも自己記録を更新できていないのだ。

 【先発完投数】は2011年の「14」に及ばない「8」。【奪三振数】も、同じく2011年の「241」に遠く及ばない「183」だった。【無四球試合数】も今季はわずかに「1試合」で、やはり2011年は「5試合」も記録している。つまり、数字上は2011年版田中将大の方が、凄いピッチャーなのだ。

 もちろんこれは相手打線や味方の守備などの影響も大きく、また、2011年は「統一球元年」だったことも加味しなければならないが、決して今年の田中が無敵ではなかったことの証左でもある。

 ではなぜ、今季の田中は「負けなかった」のか。それは、年間を通してのペース配分、そして試合の中での要所要所を抑えられるペース配分&ギアチェンジが巧みだったからに尽きるだろう。無理に三振を狙うのではなく打たせて取る、ローテーションを守るために完投にこだわらない、といった「大人の投球」ができるようになったからこそ、防御率は自己ベストと同じ数字になり、負けなかったのだ。

 ポスティング制度が見直され、来季の田中の動向はまだ不透明だが、来季以降もこの内容を維持できるのか、大いに注目したい。


文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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