「誰だろう? 長嶋さんのときとは時代が違うからなぁ……」
ただ、個人的にはもうちょっとハチャメチャな選手のほうが好き。まぁ、今の時代、朝まで飲んでそのままホームラン、ってわけにもいかないのはわかるんです。100万円の札束をポケットに入れて球場に来る、破天荒な野球選手もいなくなっちゃった。そういう点がつまらないけど、時代だからねぇ。
その意味では、大谷と同じ日本ハムの中田翔には、もっとヤンチャにがんばってほしいよね。中田は早くに結婚して子どもも生まれたでしょ。あの辺も、坂本(勇人)や長野(久義)といった最近のジャイアンツの選手にはない部分で好印象です。長野なんか、結婚を決意するまでいったい何年かかってるんだよ! っていうね(笑)。
野球選手はモテますよ。金もある、車もある、そして力もある。高校・大学までずーっと野球部で束縛されていて、プロになって「やっと遊べる!」と思うのが普通ですよ。でも、中田翔は遊ばずに結婚した。その辺は、ボクシングの亀田興毅と似てますよね。興毅も世間で言われてるような人間じゃないんですよ。実にしっかりしてる奴なんです。中田も興毅も、骨のある人間だと思いますよ!
長嶋さんの後継、ということではなく、最近の若手選手でスターの匂いがするのはDeNAの筒香(嘉智)だね。彼からは今、ホームランの匂いが漂っています。ああいう選手は久しぶりな気がするんですよ。当たった時の打球の速さにしても、打席でのオーラにしても、他の選手とは違うものがありますよね。
今年のキャンプでも松井秀喜(元巨人ほか)が指導したらしいですけど、やっぱり、一流が見ると一発でその凄さがわかるんだろうね。そういう意味でいえば、ジャイアンツのドラフト1位、岡本和真もその系図に入ってほしい選手です。期待したいなぁ。
そして、わが母校、早稲田実業の1年生、清宮幸太郎。僕、神宮第二球場での試合を観に行ったんです。凄い男が現れたね。気が早いけど、ジャイアンツで待ってますよ!
■プロフィール
テリー伊藤(てりーいとう)/1949年東京都生まれ。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大に入学。大学卒業後、テレビ番組制作会社「IVSテレビ」に入社し、『天才たけしの元気が出るテレビ』(日本テレビ系)、『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)などヒット番組を手掛け、演出家として名を馳せる。その後、ラジオパーソナリティ、コメンテーター、そして、これまで共著も含めて40冊以上を刊行する著作家としても活躍する。最新刊『長嶋茂雄を思うと、涙が出てくるのはなぜだろう』(ポプラ新書)が発売された。
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)