前回はセ・リーグ各球団の「2015代打の切り札」を紹介した。DH制のあるパ・リーグは、セ・リーグに比べて代打のプライオリティは下がるが、その中でも代打で結果を残した選手は!? 各球団の代打を見ていこう。
?田知季
13打数4安打・代打打率.308・0本塁打・1打点
レギュラー陣が絶好調で代打起用のスキが少ないソフトバンクだが、細川亨、?谷裕亮、鶴岡慎也の打撃低調な捕手陣の打席では代打起用も頻繁だった。その少ないチャンスで結果を残したのは、鷹のユーティリティープレーヤー・?田だ。
代打打率で続くのは川島慶三で.267(15打数4安打)。吉村裕基は昨季、代打打率.500(18打数9安打)、代打打点10(リーグトップ)を記録し、今季も「代打の切り札」のポジション。代打打率.243(37打数9安打)とやや率は低かったが、2敬遠を含む8四球を選び、代打出塁率は.378。一定の役割は果たした。
大谷翔平
23打数7安打・代打打率.304・2本塁打・7打点
代打起用の少ないパ・リーグで「二刀流」の利を生かし、唯一の代打2本塁打を放った大谷。シーズン全体では打率.202と奮わなかったが、代打としては迫力十分だった。本人の疲労を考慮すると、「投手&外野手」の二刀流よりも「投手&代打の切り札」が適任かも知れない。
日本ハムはその他に目立った「代打の切り札」はいなかった。巨人からトレードで来た矢野謙次が期待され、代打で起用される回数は多かったものの、代打打率.158(19打数3安打)と物足りない結果に終わった。
井口資仁
25打数8安打・代打打率.320・0本塁打・10打点
シーズンを通しては打率.247とふるわなかった井口だが、代打ではさすがの集中力を発揮し、リーグトップの10打点を挙げた。来季は41歳。今季は守備の衰えも垣間見えたこともあり、来季はパ・リーグでは異例の「代打の切り札」就任が吉か。巧打者タイプの小兵が多いロッテだけに、その起用法もありだろう。
同じくベテランのサブローは代打打率.231(26打数6安打)。代打出塁率は.333と渋い活躍を見せたが、チームの顔として来季は結果も残したい。
大?雄太朗
26打数8安打・代打打率.308・0本塁打・5打点
西武で唯一、及第点の代打成績を残したのは大?だけ。主に炭谷銀仁朗の代打で起用された。
その他にも鬼?裕司やルーキー・外崎修汰などがスタメンの際に、肝心の場面で出る代打の切り札がおらず、脇谷亮太が代打打率.200(15打数3安打)、渡辺直人が代打打率.182(22打数4安打)と代打を送っても成績を残せなかった。このあたりの選手層の薄さは課題が残る。
竹原直隆
14打数5安打・代打打率.357・1本塁打・6打点
今季は春先に代打で存在感を示した竹原だが、スタメンでのチャンスをつかみきれず、夏場に2軍落ち。7月26日を最後に1軍での出場がなかった。
しかし、その後、オリックスの代打で重用されたのは、シーズン打率.170、代打打率.200(15打数3安打)の原拓也。そのまま守備に入ることができるとはいえ、この成績では竹原の2軍幽閉に納得のいかないファンも多いだろう。
そんな竹原だが、来季から西武に移籍することが決定。ここぞの場面での代打の切り札の登場は球場を熱くさせる。来季は西武でどのように起用されるか、注目したい。
牧田明久
12打数7安打・代打打率.583・0本塁打・1打点
シーズン打率.311でスタメン出場がほとんどだった牧田だが、代打でも突出した成績を残した。7月上旬に左ハムストリングの炎症でしばらく代打限定起用となったが、6打席で4安打1四球。代打で5打席連続出塁を記録した。
新外国人のウィーラーも調子の上がらない時期は代打起用もあり、代打打率.333(15打数5安打)。2人とも本来はスタメンを張れる人材なので、「代打の切り札」とは呼ばないことにしよう。
その他に切り札を求めたいところだが、ルーキーのフェルナンドは代打打率.176(17打数3安打)、打撃が売りの伊志嶺忠は代打打率.167(18打数3安打)と今ひとつだった。機動力を生かすオーダーであれば、接戦終盤でのケアも必要だったはず。
ちなみに梨田昌孝新監督はパ・リーグ指揮官には珍しく、代打積極起用派。2009年に日本ハムをリーグ優勝に導いた際には、坪井智哉を「代打の切り札」に据え、パ・リーグ史上最多となる55打席に起用。坪井も代打打率.308、打点8と期待に応えた。
楽天では誰を切り札に据えるのか。梨田監督の人選に注目したい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)