高校野球の最前線をお伝えする連載企画「高校野球最前線 秋の陣!」。先週末から秋季都道府県大会が本格的に幕開け。注目のニュース、トピックスをお伝えしよう。
韓国で開催されたWBSC U-18ベースボールワールドカップ。日本代表はオープニングラウンドを4勝1敗で勝ち抜いたものの、続くスーパーラウンドで1勝2敗と負け越し、5位で大会を終えた。
全体的には拙守がやや目立った。投手陣が多くなるのは仕方ないにしても、外野、一塁、二塁と本職の選手がおらず、プレーがワンテンポ遅れた。世代トップレベルの選手といえどもまだ高校生。慣れないポジションでのプレーは“思考”の手間がかかる分、精彩を欠いてしまう。
調整が難しいのも理解できるが、やはりポジションごとに本職を揃えた方がいいのではないか。そんな議論も噴出している。
野球というスポーツの性質上、ある程度は対応できる。しかし、サッカー日本代表がディフェンダーの枚数が足りない構成で大会に挑むのか、あるいはバスケ日本代表がパワーフォワード、センターなしの構成にするのか…。
それでも悪いことばかりではない。森敬斗(桐蔭学園)は中堅、韮澤雄也(花咲徳栄)は一塁で経験を積んだ。世代トップの選手たちが新たなポジションに果敢にチャレンジしたともいえる。
今後に向けてU-18代表の意義や国際大会に挑む方針などが大きく問われる結果となったのは間違いない。
大阪でも秋季大会が開幕し、夏の王者・履正社が初戦を迎えた。旧チームから2、3番を務めていた池田凜、小深田大地がそのまま後ろにずれて、3、4番を担う。そして、5番・捕手のポジションを射止めたのが、関本勇輔だ。
八尾北との初戦は30対0の結果が示す通り、力の差がある組み合わせだったが、関本は4安打11打点、2本塁打の大活躍。父は元阪神・関本賢太郎氏というサラブレッド。新キャプテンにも選ばれており、攻守でキーマンになりそうだ。
甲子園準優勝の星稜も奥川恭伸らが抜けても豪華メンバーが揃っている。まずは、1年秋から4番を務める内山壮真に注目したい。今秋の石川県大会は飯田を相手に10対0(8回コールド)で初陣を飾っているが、内山は4番・捕手として出場した。
この夏の甲子園では4番・遊撃。抜群の身のこなしが売りだったが、公式戦に出始めた頃は少し驚いたことを覚えている。なぜなら、内山は中学時代は捕手。軟式の侍ジャパンU-15代表にも選出され、アジア選手権で本塁打王とベストナインを獲得したこともある。
これまでは1学年上に山瀬慎之助がいたため遊撃に回っていたが、元の捕手のポジションに戻ってきたことになる。秋に関しては、身体能力が高い選手をひとまず捕手に回すというコンバートもありがちだが、素地のある内山が務めるとなれば、秋も期待できそうだ。
投手陣は言うまでもないだろう。星稜中で内山とともに全国制覇を経験した萩原吟哉、同じく石川県内の根上中でしのぎを削った寺西成輝が二枚看板。両者ともに今夏の甲子園でも快投を見せており、3年連続のセンバツ出場を狙う線力は十分にそろっている。
文=落合初春(おちあい・もとはる)