チームの状態が上がらない要因の1つに挙げられるのが坂口智隆の不調だ。
2015年はリーグ優勝を果たしたものの「1番・中堅」を固めることができなかった。その穴を埋めるべく同年オフにオリックスから加入した。
昨シーズンの開幕戦こそ6番で起用されたものの2カード目からは1番として君臨。チーム事情もあり、2番、3番での出場もあったが、チームトップとなる71試合で1番を務めた。そのなかで挙げた打率.295、出塁率.375は十分に合格点を与えられる成績だろう。
守備でも、肩に不安はあるものの中堅を無難にこなし、終盤はバレンティンの守備固めとして左翼に回るのが定番となった。また、1回表の守備へつく前にスタンドへ立ち止まって一礼をする姿は、神宮球場での「個人的定番シーン」でもある。
今シーズンも昨シーズン同様の活躍が見込まれた坂口は、雨中の開幕戦に2番・中堅で出場。あわや本塁打という右中間への二塁打を放ち、2つの四球でも出塁と役割を果たし、期待を抱かせてくれた。
翌日の試合も4打席連続で四球を選ぶなど、派手さはないながらもチームに貢献。しかし、開幕戦の二塁打以降は安打が出ず、19打席無安打を記録するなど打撃の調子は上がらない。開幕8試合目から打順が1番になると2試合連続で安打を放つなど上昇の兆しを見せたが、ここで2軍降格となった。
早くも真中満監督が戸田で調整を命じたのかと心配されたが、「インフルエンザA型」に感染との報道があり、不調のための2軍落ちではなかったことが判明。調子が上向いてきたところでの離脱は痛いが、昨シーズン、低迷するチームにあって希望の光となった坂口の早期回復を願いたいところだ。
坂口の離脱によって1番・中堅のポジションに2015年と同じく穴が開いてしまった。坂口が抹消された翌日の4月11日には比屋根渉が1軍に昇格。今後の代役候補としては比屋根のほかに、上田剛史、山崎晃大朗、榎本葵らもいる。真中監督は固定起用を行うのか否かに注目が集まる。
坂口の代役が希望の光となることに期待したい。
チームの状態が上がらないなかで、層の厚くなった代打陣が結果を残しているのは頼もしい。昨シーズンの代打打率.247はDeNAの.248に次ぐリーグ2位の数字。しかし、代打本塁打は1本と物足りなかった。今シーズンは開幕カードから、鵜久森淳志の代打本塁打が飛び出すなど幸先がいい。
テストを経てヤクルトに加わった大松尚逸も結果を残している。昨シーズンの代打打率.400(34打数13安打)とリーグトップの数字を残した今浪隆博を欠くなかで、代打陣は好調を維持している。
セ・リーグの試合は、終盤、投手に代わっての代打が試合を決めることも多く、大松、鵜久森、今浪といった元パ・リーグの選手達にとってはチャンスを得やすく、力を出しやすい環境なのかもしれない。
まだ、シーズンは始まったばかり。大逆転優勝を果たした昨シーズンの日本ハムの例もある。まだまだ温かくシーズンの行方を見守っていきたい。
文=勝田 聡(かつたさとし)