佐々木主浩(元マリナーズほか)や山本昌(元中日)がG1馬のオーナーになるなど、競馬と野球選手の親和性は高い。
現役選手で後に、オーナーの列に加わりそうだと筆者が予想しているのは田中将大(ヤンキース)。大レースが行われるときは東京スポーツ誌上で予想を公開するなど、かなり熱が入っている。
そんな競馬大好きな田中をJRAが放っておくはずもなく、ほぼ毎年のように大レースのプレゼンターに起用されている。昨年12月25日に中山競馬場で行われた有馬記念ではアンバサダーに就任。当日はプレゼンターも務めた。
大役を担った田中はレース前に人気ジョッキーの武豊と対談したり、レースの4日前に実施された公開枠順抽選会にゲスト参加するなど、アンバサダーとして幅広く告知活動。クリスマスグランプリを盛り上げるために東奔西走した。
そして迎えたレース当日も、レース終了後の表彰式でトロフィーを手渡すプレゼンターの役目をしっかりと果たした。
あとは馬券が当たれば万事成功だったが、そうは問屋が卸さず。本命に推した武豊騎乗のキタサンブラックは2着に入ったものの、的中とはいかなかった。
ちなみに1着のサトノダイヤモンドの馬番は「11」、2着のキタサンブラックは「1」。そして、田中の誕生日は11月1日。田中に縁深い数字での決着となったのだが、「そういう(誕生日の数字にちなんだ)買い方はしていませんでした」とのこと……。
田中の同級生でもある前田健太(ドジャース)も、JRAの騎手たちと親交があることから、競馬場に足を運んでいる。
ドジャースとの契約直後の2015年1月12日には自主トレの合間を縫って、大瀬良大地、中田廉、中崎翔太といった広島の後輩を引き連れて中山競馬場へ。
プライベートでの来場だったため事前の告知はなかったが、10レース終了後に馬場に現れ、勝利ジョッキーのペリーと記念写真。自らプレゼンター役も買って出た。
まだG1レースでのプレゼンターは任されていないが、その大役を務める日も近そうだ。
田中が有馬記念のプレゼンターを務めた昨年12月25日、大阪の住之江ボートレース場では、川崎宗則(ソフトバンク)が「ボートレースグランプリ」のプレゼンターとして登場した。
レースの前にはトークショーも行い、予想を披露。その買い目は「1-6-3」だったのだが、その心は「イチ(1)ロー(6)さん(3)」とのこと。「さん」づけも忘れないなど、どこに行っても「イチロー(マーリンズ)ラブ」なところを見せつけた。
当時はカブスからFAになっていた川崎。ファンからの「ホークスに帰ってきて」という声には「当たったら帰ろうかな」と返すも、結果はあえなくハズレ。
ご存知の通り、今季開幕戦の当日にソフトバンク復帰を発表。もしかしたら、この日のファンとのやり取りがきったけとなったのかもしれない…。
引退したプロ野球選手では、山崎武司(元楽天など)が相撲界と気になるコラボを見せている。
というのも、インターネットの某スポーツ中継サイトに大相撲の解説者として招かれ、大いに持論を大いに展開しているのだ。
相撲が大好きな山崎。実は中学時代に愛知の相撲大会で優勝し全国大会に出場。多くの相撲部屋からスカウトされたという逸話も持つ。
もし角界に進んでいたら、1968年生まれの山崎は曙(1969年生まれ)や若乃花、武蔵丸(ともに1971年生まれ)、貴乃花(1972年生まれ)らとしのぎを削っていたかもしれない。
少し話が逸れたが、このように山崎が大相撲を語るに足るバックボーンは十分。筆者もまだ「相撲解説者・山崎」の持論を耳にしたことはないので、7月の名古屋場所の中継に解説で登場するなら、チェックしたいと思う。
始球式を見てもわかるように、野球場に各界の有名人を連れてくることが多い野球界。
しかし、冒頭でも触れた通り、別のフィールドに出向いて生き生きとしている野球選手の姿を見ると、ファンとしては嬉しいし、その競技にも興味が湧く。これは「Win-Win」の関係だろう。
競馬が好きな筆者は、2014年の有馬記念を観戦するため中山競馬場に行ったところ、スタンドから手を振っている巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の姿を見ることができた。それを今も土産話として語っている。
文=森田真悟(もりた・しんご)