キャンプ、オープン戦の醍醐味といえば、期待のルーキーや若手の活躍予想。少し気が早いが、今年の新人王レースを予想してみよう。今回はパ・リーグ編だ。
やはり本命は即戦力投手。最速154キロのストレートに三振を奪えるフォークやカーブを持つ宮川哲(西武)が本命になるだろう。
先発、リリーフともに可能性があるが、西武の投手事情を鑑みると、まずは先発で試す可能性は高い。秋山翔吾(レッズ)が抜けたとはいえ、打線はまだまだ強力。昨年の西武はドラ1の松本航が7勝(4敗)を挙げたが、宮川も援護に恵まれず勝ち星を逃すことはないはずだ。
外れ1位というのは気になるところだが、松本は総合力と安定感が高い技巧派タイプ。対する宮川はパワーピッチングが持ち味で、「ハマれば1年目から…」の期待の振れ幅は宮川の方が大きい。
対抗は日本ハムのドラ1・河野竜生。日本ハムの先発陣不在の状況を考えると、高卒4年目とまだ若いが、こちらも開幕から登板機会を確保できそうだ。
スローカーブやチェンジアップを駆使した緩急も魅力だが、カット気味に変化するスライダーは独特。「初物左腕」の利を受けそうなタイプで、新人王レースに飛び込んでも不思議ではない。
3年目を迎える元ドラ1の安田尚憲(ロッテ)はラストチャンス。昨季までで通算60打席。首脳陣の配慮もあり、ピッタリ新人王資格を残している。
鈴木大地が抜けた今季は当然開幕スタメンを狙える位置。昨季は2軍で122試合に出場し、打率.258(449打数116安打)、19本塁打、82打点、出塁率.365の成績を残しており、長打力は申し分なし。
三振が多くなるかもしれないが、四球で出塁率はある程度稼げる。同期の村上宗隆(ヤクルト)に続き、大物打ちとして今季開花してもおかしくない。
昨季26登板で8HP、防御率3.38を記録した平良海馬(西武)もまだ30イニングに到達しておらず、新人王有資格者。最速158キロのパワフルなストレートで存在感を示しており、今年は本格的に勝利の方程式入りを狙う年になりそうだ。
ただ、チームには増田達至という絶対的守護神がおり、中継ぎで3年目の平良が新人王を獲得するには、相当な登板数が必要。しかし、本来は先発志望であり、先発陣が崩れれば、先発転向の可能性はあると辻監督も明言している。
2018年のドラフト5位・中村稔弥(ロッテ)も新人王候補の一人。昨季終盤は1軍でも顔を見せ、10登板1先発で1勝1敗3ホールド、防御率4.32をマークした。技巧派左腕として、才能を示しつつある。
特に2軍での成績はすばらしく、16試合、88回1/3を投げ、6勝4敗、防御率2.65。1イニングあたりの平均許走者数を示すWHIPは1.02を記録しており、圧巻の域だ。
昨季、1軍でボークを2つ献上したが、しっかりと修正し、今季は先発ローテーションに食い込みたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)