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《引退選手のドラフトをプレイバック》派手さはないが存在感抜群。サブロー(ロッテ)がバットを置いた


これほど愛された選手はいない


 最後の打席での右中間への二塁打も含め通算1362安打。歴代では100位にも入っていない安打数だが、9月25日に行われたラストゲームのチケットは、その日程が発表されるやいなや早々に完売。

 いや、ファンだけでなく、元チームメイトでもある巨人の坂本勇人、長野久義、阿部慎之助、山口鉄也、内海哲也、クルーズまでもがQVCマリンフィールドに駆けつけた。

 まだ順位が確定していないシーズン終盤の大事な時期に、主力メンバーがこぞって他球団選手の引退試合の観戦に訪れるなんて、異例も異例。それでも「行きたい、行かなければ」と思わせる何かがあったのだろう。

 「つなぎの4番」はサブローの代名詞だが、打線だけでなく、ファンやチームメイトとの心もしっかりとつないでいたのだ。

ドラフト1位指名は間違ってなかった


 サブローはPL学園高出身。高校時代は1994年のセンバツでベスト4に進出している。1994年秋のドラフトでロッテから1位指名を受けて入団しているが、この年の各球団の1位選手は以下の通り。

【セ・リーグ】
広島:山内泰幸(日本体育大)
巨人:河原純一(駒澤大)
横浜:紀田彰一(横浜高)
阪神:山村宏樹(甲府工高)
ヤクルト:北川哲也(日産自動車)
中日:金森隆浩(立命館大)

【パ・リーグ】
日本ハム:金村秀雄(仙台育英高)
ダイエー:城島健司(別府大附属高)
ロッテ:大村三郎(PL学園高)
西武:富岡久貴(東京ガス)
近鉄:田中宏和(桜井商高)
オリックス:嘉勢敏弘(北陽高)

 サブロー(大村三郎)以外では、城島健司(ダイエー→マリナーズ→阪神)、河原純一(巨人→西武→中日)、山村宏樹(阪神→近鉄→楽天)が長く活躍。嘉勢敏弘(オリックス)は二刀流で話題になったが、ドラ1だけを見れば、けして豊作だったとは言い難いラインナップだ。

 なお、2位以下では、ロッテの黒木知宏(2位・新王子製紙春日井)、広島の嶋重宣(2位・東北高)、西武の西口文也(3位・立正大)、ヤクルトの宮本慎也(2位・プリンスホテル)、稲葉篤紀(3位・法政大)、阪神の北川博敏(2位・日本大)、川尻哲郎(4位・日産自動車)といったところが活躍した。

 ちなみに、2016年も現役だった同期入団選手は、現・中日の多村仁(横浜4位、横浜高)、現・巨人の相川亮二(横浜5位・東京学館高)だけだ。

ただの「つなぎ」ではない


 サブローは1年目から1軍に抜擢され、28試合に出場。高卒の野手で1年目からこれだけ試合に出られれば、上々の船出だ。

 しかし、その後は順風満帆とはいかなかった。1999年に108試合に出場し、以降は主力として定着。2005年、2010年にはチームの日本一にも貢献したが、現役22年間で、シーズン全試合に出場したことは一度もない。

 冒頭で紹介したように、通算安打数は1362本で、本塁打は127本、生涯打率は.265。獲得した打撃タイトルもとくにない(ゴールデングラブ賞は2度受賞)。それでも、これだけ注目され、2007年には北京オリンピック予選での日本代表にも選出。いかに印象に残るプレーを重ねてきたかということの証明でもある。


もうひとつの夢は監督で実現!?


 引退試合でのあいさつで、サブローは「私にはもうひとつの夢があります。この千葉ロッテマリーンズを日本一の球団にすることです」と語った。

 この夢を実現する方法はいろいろ考えられるが、やはりいちばんそれを体感できるのは監督として再度ユニフォームを着ることだろう。1歳上の高橋由伸監督が今年から巨人を率いているように、最近は指揮官の若返りが進んでいる。

 来季は伊東勤監督の続投が内定しているので、その次あたりか、一旦コーチとして入閣し、よきタイミングで監督就任という運びになるのではないか。

 それが実現すれば、サブローが「まとまり、声の大きさではどこにも負けない」と評したロッテファンの声援にもいっそう熱が入るはずだ。来るべきときを楽しみに待ちたい。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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