ファンから愛された巨漢外国人選手列伝、まずは昨シーズン、広島東洋カープでプレーしたマイク・ザガースキー(183センチ、109キロ)を紹介しよう。
左のセットアッパーと期待されながら19試合の登板で0勝 と残念な成績しか残せず、1年限りで解雇なってしまったザガースキー。
しかし、その愛嬌溢れる容姿と、聖人エピソードの数々がカープファンのハートを鷲掴みにした。広島に舞い降りた天使とも言われ、少ない1軍期間ながら、熱烈な声援を受けたのだった。
パ・リーグにおける愛された巨漢選手と言えば、1994年に福岡ダイエーホークスでプレーしたブライアン・トラックスラー(175センチ、92キロ)もその1人ではないだろうか。
外国人にしては低い身長で、はち切れんばかりの肉体、スーパーマリオを彷彿とさせるちょびヒゲを生やしたその容姿は一度見たら忘れられない。その容姿からコロコロちゃんと呼ばれ親しまれた。
成績は打率.263、15本塁打、62打点と平凡なものであったが、残したインパクトは絶大であった。そんなトラックスラーは、2004年に肝硬変で死去。享年37歳。あまりにも早い死にショックを受けたファンは大勢いるだろう。
西武ライオンズ、読売ジャイアンツで活躍した、ドミンゴ・マルティネス(185センチ、102キロ)もファンに愛された巨漢外国人の1人だ。
温厚な性格と、愛らしい笑顔で、マルちゃんの愛称で親しまれたマルティネスは、当時FAでチームを去った4番打者の後釜として入団。2年連続で30本塁打を放つなど、その期待に存分に答える活躍を見せた。
移籍した巨人でも随所に存在感を発揮。慣れない左翼の守備はお世辞にも褒められたものではなかったが、たまに見せる好返球は一見の価値はあったように思える。両球団でマルちゃんの愛称で親しまれたマルティネス。現在は中日のスカウトとして活躍している。
◎巨漢選手の人気のわけは見た目だけではない!?
ここで挙げた選手で、数字を残したのはマルティネスくらいのものである。しかし、彼等の印象は数字以上に脳裏に焼きついている。それは、巨体が故に目立つというその一点だけではなく、巨体ながらにひたむきにプレーしていた事がファンに好感を与えていたからではないだろうか?
筋骨隆々のアスリートの中にいる。丸々と太った外国人選手。それだけで、どんなプレーをするのか気になってしまった貴方。貴方は、その時点で巨漢選手のトリコなのかもしれない。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)