日に日に秋めいて来る季節。今年のドラフトは10月25日。気がつけば目前に迫っている。各球団の補強ポイントを探り、おすすめのドラフト候補を紹介したい。パ・リーグ編に続き、今回はセ・リーグ編!
(成績は10月10日時点)
・補強ポイント
特になし
・おすすめ選手
梅津晃大(投手/東洋大)
3連覇を決め、戦力充実の広島。目の前の課題としては左腕不足が挙げられるが、高橋樹也、高橋昂也、塹江敦哉ら20代前半の左腕が控えており、床田寛樹もトミー・ジョン手術からの復帰を目指している。今年はドラ1クラスの図抜けた左腕はいないため、無理に1位指名しなくてもいいだろう。
来季、綻びが出るとすれば投手陣。今季は今村猛が疲労の色が濃く、2年目のアドゥワ誠が奮闘したが、リリーフの枚数はギリギリだった。先発陣も大瀬良大地、ジョンソンからの3番手以降は防御率4点台とピリッとしなかった。強力打線と打高投低のリーグ事情に助けられた面も否めない。念のため、即戦力で使えそうな投手を獲得できれば、鬼に金棒だろう。
今年の即戦力投手の目玉は東洋大トリオ。リリーフ適性抜群の甲斐野央、安定感が光る上茶谷大河もいいが、“広島ならば”と期待したいのは梅津晃大。187センチ90キロの体格から常時140キロ台後半のストレートを投げるが、まだ未完成の評が多く、伸びしろは一番といわれている。広島ならば育てられるはずだ。
ただし、小園海斗(報徳学園高)を狙うと見る向きも強い。確かに二遊間は20代中盤が底で、突き上げがやや弱い。小園でもまったく問題はないだろう。
・補強ポイント
即戦力投手
・おすすめ選手
松本航(投手/日本体育大)
青木宣親を筆頭に30代のおじさん軍団のフレッシュな頑張りで、2位でフィニッシュしたヤクルト。しかし、外野は本当に若い選手が少なく、年齢別の底は塩見泰隆、山崎晃大朗の25歳。新陳代謝を促したい。
ただ投手陣も昨年と比べればよくなったとはいえ、投壊状況に変わりはない。広島を除く5球団が“マシな投壊”と“ひどい投壊”で競い合ったに過ぎない。ここは安定感ある投手をドラ1で指名し、下位で若手野手を充填するのが吉ではないだろうか。
神宮球場向き、ヤクルト向きで考えると松本航を推したい。最速154キロのストレートに多彩な変化球を持ち、先発としての投球術と完成度は大学ナンバーワンの呼び声高い。低めで勝負する投球も神宮球場で生きるはず。
・補強ポイント
若い外野手
・おすすめ選手
根尾昂(外野手、遊撃手/大阪桐蔭高)
補強ポイントは外野手。長野久義、陽岱鋼、亀井善行らがスタメンを張るが全員30代。岡本和真がレフトに入ることもあるが、阿部慎之助を出場させるための暫定措置であり、本来はファーストが適性ポジションだ。
今ドラフトは再就任する予定の原辰徳監督の最初の大仕事ということもあり、大物獲得で景気づけといきたい。ならば、根尾昂が最適と見た。あの強肩はライトでこそ生きる。
また、巨人には高卒の坂本勇人を育てた実績がある。若手時代の坂本は腰高な強肩遊撃手だったが、今やリーグ屈指の守備力を誇る。井端弘和コーチの手腕も光り、巨人ならば「ショート・根尾」にも可能性を感じる。
・補強ポイント
高校生野手
・おすすめ選手
太田椋(遊撃手/天理高)
ここ数年のDeNAは即戦力投手のドラ1指名が続いているが、年齢のバランスは非常にいい。今年のドラフトも投手ファーストが濃厚で、東洋大トリオ、松本航(日本体育大)のいずれかの一本釣りを狙いそうだ。
先発陣は平良拳太郎、京山将弥らが控えているが、今永昇太、石田健大、ウィーランドが不調に終わり、活性化は必須。昨年のドラ1・東克樹がエース級の活躍を見せているが、駒は多い方がいい。
将来的な布陣を見据えると二遊間をしっかりと育てておきたい。外れ1位以下で残るとすれば、太田椋か。守備能力が魅力の高校生ショートで181センチ76キロの体格から鋭い打球を放つ。小園海斗(報徳学園高)らの陰に隠れているが、今年の「坂本勇人タイプ」の筆頭だ。
ただウエーバー順でいうと2位で残っていない可能性も高い。Aクラスの他球団もクジ次第では外れ1位で積極的に狙ってくるだろう。
・補強ポイント
高校生野手/捕手
・おすすめ選手
林晃汰(三塁手/智辯和歌山高)
片山雄哉(捕手/福井ミラクルエレファンツ)
根尾昂(大阪桐蔭高)の1位指名を明言している中日。昨年から高校生育成路線に切り替えており、なおかつ大島洋平、平田良介は30代。ショートには京田陽太がいるため、根尾は外野手兼投手の二刀流で見ているのだろう。観客動員数も気になるところ、ここはスター・根尾で異論なし。
投手陣もリリーフを中心に問題は山積みだが、小笠原慎之介、山本拓実など楽しみな若手が多く、ひとまず保留でもいい年と見た。大問題は外野を含む野手陣。来年には24歳以下が石垣雅海、高松渡、伊藤康祐のみになる。
狙っていきたいのは近年手薄な大砲候補。高橋周平が打撃でポテンシャルを発揮しきれていない今、世代交代の突き上げを感じさせる補強をしたい。
捕手も若返りが必須。「インサイドワークに優れた」が代名詞となっている堅守貧打の捕手はファンも見飽きているはず。今年のドラフト候補の捕手は守備型が多いが、強いてあげれば、BCリーグ・福井の片山雄哉の打撃が光る。今季は64試合で打率.330、14本塁打、62打点と打ちまくっており、実戦力を上げている。
・補強ポイント
外野手
・おすすめ選手
辰己涼介(外野手/立命館大)
ドラ1候補として上茶谷大河(東洋大)、藤原恭大(大阪桐蔭高)、根尾昂(大阪桐蔭高)らをリストアップしている阪神。補強ポイントは福留孝介、糸井嘉男が主力の外野。内野は大山悠輔や糸原健斗が育ってきているが、高山俊の伸び悩みで外野は怪しくなってきた。
即戦力投手がほしい気持ちはわかるが、先発・リリーフともにここまで負けが先行するデキではなく、先発陣では馬場皐輔、高橋遥人、青柳晃洋が出番待ち。才木浩人も楽しみだ。ならば、ファンが見たいのはスター性のあるフレッシュな野手ではないだろうか。
1位には藤原恭大、根尾昂を推したいが、ウエーバー順の利を生かして狙いたいのは、辰己涼介(立命館大)。走攻守3拍子揃ったフィジカルモンスタータイプのセンター。「ポスト・糸井」「ポスト・福留」を任せられる逸材で「打つ」「走る」が特徴の阪神の若手、中堅外野陣とは一線を画する未来予想図が描ける。メンタルも図太く、阪神でも埋もれないはず。なんとしても獲得したい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)