激戦区・大阪にありながら、もはや甲子園出場が至上命題になっている大阪桐蔭高。そして毎年のようにプロ野球選手を輩出しているが、同校出身の「甲子園活躍型」選手として、一際話題性が大きかったのが中田翔だ。
2005年、1年時の夏に5番・一塁で甲子園デビューしベスト4。その秋から4番になるとともにエースも任され、打っては甲子園で推定140メートル弾、投げてはストレートが最速151キロを計測するなど、「平成の怪物」の異名をとるようになった。
もっとも期待された3年時の2007年夏は、大阪大会の決勝戦で敗れたため、甲子園出場は叶わず。しかし高校通算87本塁打のスラッガーは、その年のドラフトで4球団から1位指名を受けて日本ハムに入団。勇躍、プロへ進んでいった。
世が世なら二刀流という話も上がったかもしれないが、プロには野手1本で挑み、7年目の2014年シーズンに打点王を獲得。本塁打王はまだだが、コンスタントに25本以上打ち、昨年は30本に乗せたことから、時間の問題とも思える。
年を追うごとに進化する打者から、まだまだ目が離せない。
近年は毎年のように甲子園に出場している大阪桐蔭高。とはいえ常連となったのは、今から14年前、2002年の夏からのこと。その前の出場は、1991年までさかのぼる。
中田と中村の関係は、長嶋茂雄・王貞治のONコンビと野村克也の関係に似ているように感じる。
巨人の看板選手としてスター街道まっしぐらのONに対し、自らを「月見草」と例えた野村。甲子園に出場して常に陽のあたる場所にいた中田と、藤井寺球場で高校野球を終えた中村。2人を対比すると、通じるものがあると思う。
お互いの性格的に、この構図はこれからも変わらないと思うが、大阪桐蔭スラッガー対決はこれからが本番だ。中村がこのまま逃げ切るのか、それとも中田が追い抜くのか。
最終回は、東北が生んだニュースターのストーリーをお送りする。
文=森田真悟(もりた・しんご)