球団創設以来抱える懸案の解決を「杜のクロマティ」に託したい!
長距離砲の育成が課題の楽天。中川大志、西田哲朗、内田靖人ら右の強打者の育成に力を注ぐものの、年間2ケタ本塁打を打つ生え抜きの誕生もままならず、道半ばだ。そのなか、筆者のイチオシはブラジル生まれの日系4世、フェルナンドである。
2014年にドラフト4位で白鴎大から楽天入り。プロ3年目の今季に25歳を迎える右投右打の外野手だ。5歳のときに来日。日本で育ち、桐生第一高、白鴎大では強打者として鳴らした。
フェルナンドの打撃姿は、まさに「杜のクロマティ」。左右の違いはあるものの、巨人の往年の助っ人・クロマティさながらだ。
昨今では珍しい、お尻をぷりっと突き出してバットをかつぐクラウチング・スタイル。肉付きの良いムキムキな体格で、175センチという小柄さを感じさせないパワフルな打撃を売りにする。昨季は、その打棒がイースタン・リーグでスパークした。
なんと! 昨季のフェルナンドは、イースタン・リーグで、1軍で14本塁打を放って台頭した山川穂高(西武)に迫る打棒を見せた。214打席で本塁打は14本。柵越えを約15打席に1本のペースで量産した。これは昨季、イースタン・リーグで200打席以上を記録した打者65人中、山川の約12打席に1本(268打席で22本塁打)に次ぐ高い本塁打発生頻度だった。
OPS(出塁率+長打率)はリーグ4位の.920。純粋な長打力を表すISO(長打率−打率)も山川の.333に続く2位の.282。打率も.287と好成績をマーク。クリーンアップに座ると燃えるタイプで、3番、5番でスタメン出場した15試合65打席では、5本塁打を含む長打11本の大暴れ。その際の打率は.333、OPSは1.085と高い数字を残した。
ファームでの長打力上昇の背景には、ゴロを打たされるケースが減り、右翼、右中間方向にも長打を打てるようになった点が大きい。プロ1年目の2015年は右翼、右中間への本塁打は1本のみ。しかし、昨季は4本に増えている。二、三塁打も同様の傾向をみせた。
1軍では通算43試合95打席で打率.191、1本塁打という残念な成績にとどまっているが、その長打力は本物だ。1軍で打ち返した打球61本のうち、ウオーニングゾーン以遠に到達した大飛球は約1割に当たる6本を記録する。
山川に追いつき追い越せとばかりに、フェルナンドも今季は1軍で羽ばたいていきたい。
守備では肩の強さに定評がある。この2年間、イースタン・リーグで記録した補殺数10は、外野手ではリーグ4位タイだ。
現在、1軍には強肩を武器に相手走者の進塁を抑止できる外野手が不在。今季の外野は激戦区で、1枠は外国人起用が濃厚だ。残りの2枠を、島内宏明を中心に争う形になる。
同じ白鴎大の先輩・岡島豪郎もライバルになるが、チーム内の競争を制して長打と強肩で1軍に貢献、将来的には不動の4番へと成長したい!
文=柴川友次
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