11月27日、球界に明るい話題が飛び込んできた。ドジャースなどでメジャー通算123勝を挙げた野茂英雄が、2014年のアメリカ野球殿堂入り選手の候補者36名に選ばれたのだ。日本人選手が、米野球殿堂の候補になったのはもちろん初の快挙だ。
日本の報道では「野茂、米殿堂候補入り」ばかりが取り上げられているが、今回凄いのは、他の35人の候補選手。もちろん、殿堂候補なのだから凄い選手の集まりなのは当然なのだが、今回は特に「伝説級」の偉大な選手がノミネートされている。つまり、他の候補選手を理解すれば、なおさら“NOMO”の偉大さが際立つというもの。実は『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』には今回の「殿堂候補選手」が数多く取り上げられていて、本書を読むだけで、米殿堂候補を理解するキッカケになるのだ。
野茂以外の35人の殿堂候補選手のうち、投手では「トッド・ジョーンズ」、「エリック・ガニエ」、「ロジャー・クレメンス」が本書で紹介されている。
木田とタイガース時代に同僚だったのがトッド・ジョーンズ。日本では「ヒゲ魔人」の愛称が示す通りその風貌のインパクトが強いが、本書の中では「気配りのできる快速クローザー」として紹介されている。
ドジャース時代に同僚だったのがエリック・ガニエ。《2003年当時、僕の中での「史上最高の投手」》と絶賛。登場時に電光掲示板に表示される「GAME OVER」の文字がとにかくカッコよく、憧れたという。
殿堂候補の野手で、本書にその名が登場するのが「ポール・ロデューカ」、「バリー・ボンズ」、「マーク・マグワイア」、「サミー・ソーサ」だ。
ポール・ロデューカの名は、意外なことにソフトバンクの「ファルケンボーグ」の項目で登場。メジャー屈指の名捕手ロデューカが「今まで見たカーブの中で一番いいのがファルケンボーグ」であるという。ファルケンボーグの見方も変わってしまう貴重なエピソードだ。
バリー・ボンズとは90年の日米野球で対戦。そして、マーク・マグワイア、サミー・ソーサとはメジャー時代に何度も対戦し、その特徴も詳しく記されている。マグワワイア、ソーサとも、一般的にはシーズンホームラン数を競い合った当時の「本数」で語られることが多い。しかし、本書では、マグワイアの「打球速度」、ソーサの「勝負強さ」に主眼が置かれているのが注目点だ。
野茂と木田、実は二人にはたくさんの因縁がある。同じ1968年生まれ。年度は違えどドラフト1位同士。ともにフォークを操り、1990年にはセ・パそれぞれの最多奪三振に輝いている。