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本塁上の攻防は揉めること必至? キャンプで話題となった「コリジョン(衝突)ルール」に迫る


 いよいよ各球団ともキャンプを打ち上げ、本格的にオープン戦の時期となっていく。そんな中、今年のキャンプで各球団とも苦心したのは、今シーズンからNPBで適用される「コリジョン(衝突)ルール」への対策だ。

本塁上でのクロスプレーに関するこの新ルール。キャンプ中の様子を見ると選手はもちろん、ジャッジする審判側もきちんと対応できない面もあった。改めて「コリジョン(衝突)ルール」をおさらいしておこう。


「コリジョン(衝突)ルール」とは?


 簡単に言うと、本塁上での捕手と走者とのクロスプレーに関するルール。これまで、本塁上のクロスプレーといえば「格闘技」「キャッチャーとランナーとの戦い」とも評されてきたが、新ルールでは以下の点が改正となる。

・走者の捕手へのタックル禁止

・捕手は本塁への送球に備える際、本塁を跨いで待ってはいけない

・捕手は必ず走者の走路を空けておく

・タッチする際のブロック禁止

 これまで捕手の技術の一つとされてきた本塁をうまく隠してのブロックも、新ルールでは禁止となってしまう。それだけに捕手にとっては、新ルールに対応したやり方が求められる。


MLB、アマチュア野球では一足先にルール施行


 そもそも、このルールが制定されるきっかけとなったのはMLBからだった。2011年5月25日のジャイアンツ対マーリンズの延長12回、ジャイアンツの捕手であるバスター・ポージーが、犠牲フライからの送球を捕球した直後、三塁走者のスコット・カズンズのタックルを受け重傷を負った。この出来事は大きな波紋を呼び、その後2014年からは本塁上の危険なクロスプレーが禁止となった。

 一方、日本のアマチュア野球では、2008年に捕手は本塁上で送球を待つ時は、走者の走路を空けるというルールを制定。2013年には「走者のタックル禁止」も加わった。

 2012年のU−18ワールドカップ・日本対アメリカで日本の捕手・森友哉(当時、大阪桐蔭高2年・現西武)が、本塁のクロスプレーでタックルを受けたことは記憶に新しい。最近出版されている技術書でも、本塁クロスプレーに関する箇所は以前とは改められ、内野手の盗塁阻止のようなタッチを行うことが推奨されている。


各球団の対応は…


 今キャンプの「コリジョン(衝突)ルール」に関する報道で話題となったのは、2月9日の阪神・宜野座キャンプだった。シート打撃で本塁クロスプレーとなった際、キャッチャーの小宮山慎二が捕球後に左足でブロックしていたため、走塁妨害とみなされた。

 また巨人では、井端弘和内野守備コーチが新ルール対策として、内野手にバックホームは三塁側へ低く送球するよう指導している。

 新ルール適用によって、本塁クロスプレーは正面からのブロックではなく走者に追いタッチする形が多くなるに違いない。それによって今年のプロ野球は昨年よりも得点が増える可能性がある。本塁へスライディングする走者、そして得点させまいと走者にタッチする捕手…。本塁上のクロスプレーが、今年のプロ野球観戦の大きなポイントとなる。

文=武山智史(たけやま・さとし)

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