8月14日現在、打率トップは秋山翔吾(西武)で打率.338。柳田は2位で打率.325。その差は1分3厘だ。一方、27本塁打で柳田がトップを走る本塁打王争いは、昨年のキング、レアード(日本ハム)が26本塁打と1本差でピタリと2位につけている。この2選手。実は今季のソフトバンク戦でよく打っているのだ。
■秋山の打率比較
シーズン通算:打率.338
対ソフトバンク:打率.362
■ レアードの本塁打比較
シーズン通算:26本塁打
対ソフトバンク:7本塁打
秋山は打率.380を記録している日本ハム戦に続く高打率。投手別に見るとバンデンハークが12打数6安打、モイネロが3打数2安打と外国人投手がよく打たれている。
13連勝で首位争いに加わってきたレオの斬り込み隊長を封じることが、チームの優勝、そして柳田の三冠王にも連結する。
レアードには3年間で19本塁打を献上している。サヨナラアーチに決勝アーチ。ソフトバンクファン目線でいうと、「ここで打たないでくれ」という場面でことごとく大きな一発を放つ、恐怖の寿司ボーイだ。
本塁打をもっとも打たれているのは、ここでもバンデンハークで4本。バンデンハーク、頼むよぉ……。
本塁打王争いのライバルがチームメイトにもいる。柳田と2本差の25本塁打を放っているデスパイネだ。
今季のデスパイネは、ロッテ時代の24本塁打(2016年)をすでに超え、キャリアハイを達成。もちろん自身初のタイトルを狙っていることだろう。
現在、4番と5番を担う2人が成績を上げて、タイトル争いを続けることは、もちろんチームにとってもよいことだ。またしてもソフトバンクファン目線でいうと、2人が同数でタイトルを分け合うのが理想だが、最後の最後まで優勝争いをしていると、タイトル争いを考慮した選手起用はできるはずがない。
となると終盤で優勝争いに決着をつけて、残りの消化試合で2人が同じ本塁打数でタイトルを取るのが理想的。虫がよすぎる話だが。
2015年は死球で左膝を負傷。2016年は守備中に右手薬指を骨折。いずれも9月の出来事で、2年連続で終盤の大事な試合を欠場することになってしまった。
インコース攻めが多く、また、守備範囲が広い故にかなり無理をするプレーも多い柳田。「ギータ、ケガしないように無茶なプレーはしないでね」というわけにもいかないのだろうが、名選手の条件の一つは試合に出続けること。さらに超一流の選手になるために、ケガをしない選手になってほしい。
本人は「三冠王は意識してない」とインタビューなどで語っているが、ここまで注目されて意識していないことはないはず。昨季は「40-40(40本塁打40盗塁)をやります」と宣言して果たせなかったこともあり、今季はリップサービスを控えて不言実行のつもりでいるのだろう。
チームのV奪回、そして三冠王を目指して、ギータには打ちまくってほしい。それから…くれぐれもケガには気をつけてね!
(成績は8月14日現在)
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。8月14日は札幌円山球場で日本ハムvs北海道社会人・大学選抜戦を観戦。印象に残ったのは8回から登板し1イニング無失点で抑えた左腕の本前郁也(北翔大学)。まだ2年生だけに、今後の伸びしろに期待したい。