写真協力/徳島インディゴソックス
ドラフトの余韻が残る秋のストーブリーグ。ドラ1、上位候補に注目が集まるが、下位にも隠れた逸材が眠っている。昨年のドラフトを振り返っても中川圭太(オリックス7位)や渡邊佳明(楽天6位)など、下位指名から1軍戦力に駆け上がった選手がいる。
今年の下位指名から来季の下剋上候補を大胆予想してみたい。
支配下全体の最下位指名が思いもよらぬ有名選手だったことに驚いた人も多かったのではないだろうか。
高校時代の岸潤一郎は明徳義塾高で甲子園に4度出場。投打の軸としてプロからも注目された甲子園スターだ。その後、拓殖大に進学し、1年生から頭角を現していたが、ヒジを痛めて手術。治りが思わしくない問題を抱え、3年秋に中退した。
しかし、紆余曲折を経て、四国アイランドリーグ Plus・徳島インディゴソックス(以下、徳島)にたどり着き、野手として再始動。ルーキーイヤーの2018年には打率.275、38盗塁で盗塁王を獲得。今年も打率.267、35盗塁の成績を収めた。
なぜ、岸を支配下で獲得したのか。1つ上の7位で同じ徳島の若手・上間永遠を獲得したこともあるが、ズバリ岸の足だろう。西武の編成は秋山翔吾のメジャー挑戦を想定していたのではないだろうか。
そもそもパワー型の選手が多い西武だが、金子侑司がレギュラーに定着し、絶対的な代走屋がいない。秋山がいなくなれば外野の守備固めが必要なケースもあるだろう。今季、岸はショートを守っており、内野をこなす身体能力もある。西武は意外と選手層が薄い。1年目から出番がありそうだ。
指名は中位だが、1軍での出番という意味では日本ハム4位の鈴木健矢も下剋上候補。右のサイドハンドだが、リリース位置がかなり低いタイプ。横旋回で鋭く腕を振る。
つまりリリーフ向きだが、栗山英樹監督は来季もオープナー制(ショートリリーフ)を継続すると明言している。打者の目線を変える変則派右サイドの鈴木は、オープナーで真価を発揮するのではないだろうか。近年、左打者に有効なシンカーを持っていることも強み。
勝俣翔貴はオリックス待望の打てる三塁手。東海大菅生高時代はエースで4番として活躍。侍ジャパン高校代表にも名を連ねたが、ドラフトでは2位縛りのため、指名漏れ。悔しさを胸に国際武道大で打ちまくった。
今春、右手有鉤骨の影響で結果を出せずに評価を落としたが、2年春、2年秋、3年秋と打率4割台をマークしたヒットメーカー。逆方向にも強い打球が打てる打撃職人。その一方でオリックスの三塁は空席。キャンプから順調なら、首脳陣もオープン戦で勝俣を試すはずだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)