ヤクルトファンだけではなく多くの野球ファンが注目している日本代表の二塁手争い。打撃の山田哲人(ヤクルト)と守備の菊池涼介(広島)。どちらがスタメンをつかむのか。山田が有利との見立てが有力だが、それでも、ファンの意見は2つに分かれている。
昨年11月に行われた侍ジャパンの強化試合では「三塁・山田」というオプションも試されたが、山田は少ない守備機会のなかで悪送球を犯してしまう。小久保裕紀監督も「山田は二塁一本。三塁のバックアップは菊池」と明言。2人が併用される可能性は低い。
仮に、同時に起用されるとすれば大谷翔平(日本ハム)が投手で出場する際の「指名打者・山田、二塁・菊池」というプランだろう。しかし、限りなく実現の可能性は低い。
となると、山田が先発し、試合展開によって守備固めで菊池を送り出すというプランが現実的だろうか。
小久保監督の迷いを払拭するためにも、キャンプ、壮行試合で「一発回答」が見られることを期待したい。
2013年の第3回大会で、バレンティンはオランダ代表として7試合に出場。本塁打こそ出なかったものの打率.304(23打数7安打)、5打点とチームに貢献した。しかし、第2ラウンドで肉離れを発症。大会途中で無念の離脱となり、ペナントレースも出遅れることになった。
この年、開幕2軍スタートとなったバレンティンが1軍に復帰したのは4月半ば。チームにとって13試合目だった。しかし、ここから驚異的なペースで本塁打を量産。NPB史上最多となる60本塁打を放ち、歴史に名を刻んだ。
この経緯を覚えているヤクルトファンは多いだろう。ケガをして開幕には出遅れてしまったものの、仕上がりが早かったことで、絶好調でシーズンに入ることができたともいえる。
真中満監督もバレンティンのWBC参加には賛成。「仕上がりは早い方がいい」とコメントしている。
「歴史は繰り返す」のだろうか。WBC仕様の早めの調整を行い、体がよく動く状態でヤクルトに合流するバレンティンは、今シーズンも期待できそうだ。
2015年のプレミア12以来続く日本代表の「抑え問題」。今大会の抑え候補として名が挙がるのは平野佳寿(オリックス)、松井裕樹(楽天)、増井浩俊(日本ハム)、そして秋吉亮(ヤクルト)だろう。
しかし、いずれも絶対的な守護神というわけではなく、現段階では、抑えの起用法は流動的になることが予想される
秋吉は昨年11月に行われた強化試合で3回を投げ無失点に抑えた。奪三振3、与四球0と安定した投球を見せてくれた。オフの自主トレでもWBC球を苦にする様子は見られず、本番でも安定した投球を期待できそうだ。
秋吉自身は抑えにこだわることなく「与えられたところで頑張る」とコメント。小久保監督も使いやすいだろう。抑え、セットアッパーと複数の役割で起用されることが濃厚だが、ヤクルトでもそれは同じだ。「いつでも頼れるリリーフエース」秋吉の快投を見届けたい。
今大会には、ヤクルトからMLBの世界に羽ばたいた「ヤクルト・旧背番号1」の青木宣親(アストロズ)も参加を表明。青木にとって、2009年の第2回大会以来2大会ぶり3度目の出場となる。
第2回大会では3番打者として全9試合に出場し、打率.324をマーク。大会ベストナインにも選ばれた。あの活躍をまた期待したい。
その青木と「ヤクルト・新背番号1」の山田が日本代表で共演することになる。
青木と山田は2011年のポストシーズンで共演していたが、当時の山田の背番号は「23」。「新旧背番号1」同士としては、WBCが初共演となるのだ。
代表チームの背番号1は内川聖一(ソフトバンク)が背負うが、ヤクルトファンの目には青木と山田の背にも「1」が見えることだろう。
「青木と山田が同時にグラウンドへ立つ瞬間を見たい」。そう願うヤクルトファンはきっと多いはずだ。
文=勝田 聡(かつた・さとし)