2年連続Bクラス、そして2012年以来の最下位に終わった昨季のオリックス。その現実を踏まえて、ドラフトは本指名で9人、育成枠で5人と多めのラインナップとなった。
特に本指名では投手が7人で、そのうち大学卒、社会人出身の即戦力候補が5人。投手力強化を至上命題として臨んだドラフトだったようだ。
その狙い通り、1位の山岡泰輔(東京ガス)が9月9日終了時点で20試合に先発し8勝8敗と健闘。シーズン序盤は援護のない試合が続き、初勝利は5月28日までずれ込んだが、そこからはまずまず安定した投球を続けている。防御率は3.13で、歴戦の強者たちに混じってリーグ6位につけている。
今季は源田壮亮(西武)が目立っているため難しそうだが、例年なら間違いなく新人王の有力候補だったに違いない。
本誌『野球太郎』では「(高校時代と比較して)社会人の3年間でストレートの威力があまり伸びなかったのは不満。スライダーの変化も大きすぎ、プロでは見極められるかもしれない」と辛めの見立てもあったが、「洞察力に優れ、調子が悪いときでも試合を作れる安定感はプロ顔負け」とも評している。いずれにしても、見事な1年目の活躍と言える。
ほかにも、2位の黒木優太(立正大)と5位の小林慶祐(日本生命)がセットアッパーとして重用され、4位の山本由伸(花咲徳栄高)も2試合目の先発となった8月31日のロッテ戦で初勝利を挙げた。
野手陣から1軍昇格選手は出ていないが、山岡を筆頭にこれだけ投手陣が戦力となっていれば、本誌の「73点」という総合ドラフト採点よりは、やや上回ったと考えてもよさそうだ。
日本ハムのドラフトはいつも通り本指名のみで、投手5人、野手4人という顔ぶれ(6位指名の山口裕次郎[履正社高]は入団せず)。田中正義(創価大)、佐々木千隼(桜美林大)と1位競合の抽選で2連敗を喫するも、取れなかった両投手の今季の動向を見ていると(先々はともかく)、諦めもついているかもしれない。
指名選手のなかで、ここまでもっとも出番が多いのは石井一成(早稲田大)だ。本誌では「遊撃手としての守りから評価を得て、数年後のレギュラーを目指したい」と、あくまで将来性込みの指名という見立てだったが、それに反してオープン戦から結果を出し、開幕から1軍ベンチ入り。ここまで92試合に出場している。
予想通り、守備は、田中賢介や中島卓也に代わって二遊間でスタメン起用されるほど動きがいい。それだけに、打率1割台にとどまっている打撃を早めに強化したいところだ。
ほかでは1位指名の堀瑞輝(広島新庄高)、8位指名の玉井大翔(新日鐵住金かずさマジック)がリリーフとして登板し、とくに玉井は8月以降9試合連続無失点と安定感が増してきている。
本誌の総合ドラフト採点は「70点」だったが、投打にまずまずの活躍選手が出ており、この採点に近い結果と言えそうだ。
本指名7人、育成枠で2人の計9人を指名したロッテ。そのうち7人が投手だった。
もちろん注目は、外れ1位ながら5球団競合となった佐々木千隼(桜美林大)。それだけ球界全体の評価が高かった佐々木だが、実際の成績はというと、11試合に登板し2勝7敗、防御率5.61。デビュー登板となった4月6日のロッテ戦こそ5回1失点で初勝利を記録したものの、その後はプロの洗礼を浴び7月6日に2軍降格。9月上旬となっても1軍登板なし。
本誌では「佐々木が即戦力なのは言うまでもない。と言うより、やってもらわなければいけない選手」と評していただけに、残念な状況となっている。
ただ、本来のポテンシャルは、こんなものではないはず。8月31日の2軍戦では、先発して5回無失点と光は差しつつあるので、しっかり立て直して、今季終盤、あるいは来季の飛躍に期待したい。
一方、1位の佐々木がモタついている間に、2位の酒居知史(大阪ガス)がシーズン序盤のリリーフから先発に転向し、8月18日の完投勝ちを含む3勝。5位の有吉優樹(九州三菱自動車)もセットアッパーとして49試合登板するなど活躍を見せている。
総合ドラフト採点は、佐々木の獲得に成功したこともあって「80点」と高かった。しかし、期待と実績のギャップが大き過ぎたことは否めない。酒居、有吉の台頭を加味しても、そこまでの高評価には至らないように思えるが、どうだろうか。
(成績は9月9日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)