【この記事のよみどころ】
・出身地や体格などから石川雅規2世とよばれた成田翔
・しかしその投球は本格派の松井裕樹を思わせる
・イケメン度なら、2人を凌駕する成田翔
ヤクルトの真中満監督の早とちりガッツポーズや、システムトラブルなど、ひと騒動もふた騒動もあった今年のドラフト会議。
各球団がとっておきの新星を指名し、ファンもご贔屓球団の指名選手に大きな期待を馳せていることだろう。
ドラフト会議が終了すると、毎年のように「○○2世」などと、なかば強引に指名選手に対しての枕詞をつける風習のようなものがある。
往年のプロ野球選手と同じ出身校だったり、同じタイプの選手が指名されれば「○○2世」と名付けられ、プロ入り後はその幻影と戦う宿命を背負わされる選手もいる。
今回『週刊野球太郎』では、今年の指名選手で「○○2世」と呼ばれている選手を一挙紹介しよう!
今夏の甲子園で、「○○2世」と呼ばれた選手といえば、みちのくのドクターKの異名を持つ、成田翔(秋田商/なりた・かける)だ。
U-18日本代表にも選出された逸材左腕はロッテがドラフト3位で交渉権を獲得した。
成田といえば、ヤクルト・石川雅規と同じ秋田商のエース。同じく左腕で、さらに野球選手としては小柄(成田168センチ、石川167センチ)。今夏の甲子園の初戦で16奪三振をマークすると、メディアは一挙に「石川2世」と活字を躍らせた。
小柄な成田だが、実際のプレーを見てみると、その印象は一変する。「みちのくのドクターK」の二つ名でピンと来た人もいるだろうが、成田は力感のあるフォームから繰り出す、キレのいいストレートと切れ味鋭いスライダーで三振を奪うタイプ。しなやかなフォームで打ち取るタイプの石川とは、プレーの印象が全然違うのだ。
恩師である秋田商・太田直監督もその違いを実感しており、「石川はコースを突いていくタイプだったけど、成田は高校時代の石川より球速がある。体全体を使っていく力投派です」と語っている。
太田監督は高校時代、秋田商で石川とバッテリーを組んでいた捕手出身監督。石川の当時の投球を体感しているだけに、ちょっぴり困惑しているのも事実なのだ。
では、成田は一体、誰2世なのか——!?
スライダーが切れ、三振を奪える。成田のプレースタイルで最近最も挙げられるのが「楽天・松井裕樹に似ている」という声だ。
事実、投球フォームも松井にソックリ。これが「石川2世」を否定する大きな要因となっているが、球速でいえば成田は松井よりも見劣りし、プロの舞台ではフォームを変えていくことも考えられる。
石川、松井、いずれにしても、プロの世界で大成功を収めた好投手だが、その2人をも超える投手に「成」り上がってほしい。
オコエ瑠偉(関東一・楽天1位)、清宮幸太郎など、大スターが出現した今夏の甲子園だが、成田も大報道の陰に隠れながらも凄まじい人気を誇っていた。
その対象は、なんとうらやましいことに女子高生。
太くもキリッとした眉に大きな奥二重の目。長いまつげ。江戸時代にタイムスリップしても通用しそうな普遍のイケメンに、女子高生たちの視線はクギ付け。
女子高生の注目度でいえば、オコエ、清宮などを遥かに凌駕していた。
その点だけでいえば、フジテレビの日曜18:30の顔である「カツオ」呼ばわりされている童顔・石川に比べて、一歩リードしている印象もある。
しかし、石川や松井も女性ファンからの人気がないわけではない。むしろ、モテている。それは彼らの投球に抜群の魅力があるからだ。
プロ野球ファンの女子はそのあたりは非常にシビア。打たれるイケメンピッチャーなど、おとといきやがれなのだ。
成田が1軍で結果を残したとき、その顔は改めて武器になる。すべての野球ファンを痺れさせるピッチングを期待したい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)