191センチ100キロ。そのインパクトある体格から投じる渡邉拓海(酒田南)のストレートには威力がある。中学3年時の体重は130キロ。そこから絞り、高校2年冬には95キロ、現在は100キロでベスト。体の変化とともに試行錯誤してきた。今は上半身の力が強い中で球質の重い球を投げており、下半身が使えてきた時を想像すると夢があるビッグな右腕だ。同じく酒田南の飯田幸大は丁寧なピッチングが光る。
この春、県大会初勝利から初の東北大会出場まで駆け上がった山形学院。そのエース・大場勇飛はスリークオーターやサイドハンドなど、変則フォームからまさに7色の変化球で打者を翻弄するタイプの右腕。浮くスライダーや2種類のカーブ、パームなどで打者を打ち取るコツを心得ている。
米沢中央・日野雅崇は186センチの体をアンダースローのように一旦沈めてサイドハンドで放る。腕のしなりを利用したストレートはキレがある。
春4強の山形城北のエース・須藤翼はスライダー、カーブといった変化球でカウントを取れるのが持ち味だ。
気がかりなのが篠田怜汰(羽黒)だ。昨夏、山形大会で好投し、甲子園では背番号1を背負った。最速は144キロで、カーブやスプリットを交えた投球術が冴える。しかし、侍ジャパンU-18代表候補の研修合宿にも召集されたが、この春は球速が120キロ台で、出ても130キロちょっと。投球の合間に肩を回す仕草をするなど、スカウトが心配の声を上げている。夏までに1年前の姿を取り戻し、ドラフト候補らしいハイレベルのパフォーマンスをみせられるか。
伊藤海斗(酒田南)は全国でも屈指のスラッガー。公式戦では1年秋と2年夏に2本ずつ、2年秋には5本のアーチをかけている。3年春は0本だったのが寂しいものの、夏は気持ちよくフルスイングを続けてほしい。投げては140キロを左腕から投じる能力の高さもある。
2年春にセンバツを経験している渡部雅也(日大山形)も1年秋から正捕手でクリーンナップを務める。パンチ力のあるパワフルな打撃と、二塁送球タイムが2秒を切る強肩が長所だ。右ヒジの手術を乗り越えて、侍ジャパンU-18代表候補の研修合宿に参加し、ハイレベルな世界を体感。現状を打破し、ステージを上げるきっかけになった。プロ志望だけにアピールを続けたい。同じくセンバツを経験している鹿野航生(日大山形)は安打を量産するトップバッター。
西島好亮、橋本魁も経験値を生かして打線に勢いをつけたい。
昨夏の甲子園で1番を打っていた鈴木倫(羽黒)はこの春、公式戦3試合で本塁打をかっ飛ばした。長打力が売りの左打者だ。父・健さんは羽黒OB(当時は羽黒工)で、日本石油を経て、広島に入団した投手だった。山下陽生(鶴岡東)は逆方向にも長打を放つ巧打者だ。
159センチと小柄な足達歩(山形城北)は俊足を生かし、守備、攻撃ともに貢献度が高い。
春に初4強入りと飛躍した山形学院は3番・田渕嵩士、4番・堀江聖仁、5番・露久保拓也のクリーンナップが強力だ
鶴岡東、日大山形、酒田南の争いになりそうだ。
春は鶴岡東が4年ぶりに制覇。
2位の日大山形は昨春センバツを経験した選手たちが多数おり、チームが一つになれば強い。
昨秋優勝の酒田南も鍛え直して夏に照準を合わせてくるだろう。
この3校を追うのが新興勢力の山形学院や春4位の山形城北、秋2位の羽黒。
公立では秋4位の山形中央や昨夏4強の山形南、日大山形とタイブレークを戦った酒田光陵が追随する。