球春到来。いよいよ幕を開けた平成最後の春季キャンプ。3月29日の開幕戦へ向け、国内外のキャンプ地で12球団の選手たちによる調整やアピール合戦が始まった。
侍ジャパンメンバー、FA移籍組など気になる選手は山のようにいるが、今回はルーキーにスポットを当ててみたい。ミレニアム世代を中心とした豊作のドラフトから、さらに輝きを見せるのは誰だ!?
今年のルーキーで、まず触れたいのが吉田輝星(日本ハム)。いつ、どこにいても一挙手一投足に注目が集まるが、それでも自分を見失わずに鍛錬を積んでいる。
2月6日の2度目のブルペンでは、視察に来た大リーグのスカウトが絶賛するなかでも自己評価は「50点」と辛口。納得できなかった部分を修正するために、セットポジションとノーワインドアップの使い分けや遠投という金足農時代からの調整法で修正を施した。
いざというときのための引き出しは、多いに越したことはない。筆者はプロの凄さのひとつに「修正力」があると思っているので、自分の調整法を持っている吉田の未来は、あらためて明るいと感じた。
日本体育大時代は大学ナンバーワン投手とも称された松本航(西武)が、ブルペンでその実力を遺憾なく発揮している。第1クールはストレートだけをひらすら投げ込んだが、受けた森友哉いわく「180キロ出ている」というのだ。
もちろん180キロはジョークだが、それだけボールに威力があるということ。球数を増やし、変化球も投げているので、ストレートとどんなコンビネーションを見せるのか楽しみだ。
西武の大卒ドラフト1位投手といえば、近年では多和田真三郎が独り立ちしている。松本も多和田に続きたい。
沖縄の宜野湾でも、ボールを受けた複数の捕手から絶賛されているルーキーがいる。上茶谷大河(DeNA)だ。
戸柱恭孝を筆頭に、オリックス時代に金子弌大(日本ハム)や平野佳寿(ダイヤモンドバックス)といった名投手のボールを受けてきた伊藤光も太鼓判を押しており、“もう活躍するしかない”という状況だ。
ちなみにブルペンでは、戸柱の捕球の上手さに引き込まれて予定の40球を超える60球投げてしまい「疲れました」と笑ったが、気持ちが乗ると一気にゾーンに入るタイプなのかもしれない。
甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)とともに東洋大三羽烏の一角を担ったが、いの一番で飛び出すのは上茶谷かもしれない。
2019年のルーキーチェック、今回紹介した3人の投手には、すぐにでも1軍のマウンドで活躍できそうな雰囲気を感じた。
そうたやすくないのがプロ野球の世界ではあるが、若手の底上げがあってこそ球界全体のレベルは上がっていくというもの。活きのいいルーキーたちが、我こそはと立ち上がることに期待したい。
次回は野手のルーキーを取り上げていく。こちらも根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)と大物ルーキーが控えている。現時点の順調度合いなどもチェックしたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)