来週からもう交流戦が始まるプロ野球。ここ数年、定番化しつつあるのが、セ・リーグ下位チームが軒並みパ・リーグ勢に星を献上し、リーグ戦が再開するころには上位と下位チームの差がより開いてしまうという流れだ。
奇しくも、現在のセ・リーグBクラスは、昨季のBクラスと同じ顔ぶれ。このままずるずるとBクラスが定位置になりかねない。そこで開幕前に発売した『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球[呪い]のハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)を今一度チェック! 今季ここまでの戦いぶりから、払拭できた呪いとまだまだ呪われている点を検証し、順位浮上のキッカケを探ってみたい。
△2013年セ・リーグ4位:中日の応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?
落合政権時代は無類の強さを誇ったホーム・ナゴヤドーム。2010年には34もの貯金を生み出し、2011年と2012年にはチーム防御率が1点台を記録するなど、他球団にとっては“呪い”としか言いようがなかったこの「ナゴヤドーム神話」。ところが、昨季は29勝38敗(1分)と大きく負け越し、神話も崩壊か!? と囁かれていた。
しかし今季はここまで12勝9敗と勝ち越し中。なんとか「神話完全崩壊」の危機は免れている。特に踏ん張っているのが若手投手陣だ。ドラフト2位の又吉克樹はナゴヤドームで2勝。2012年のドラフト1位・福谷浩司もナゴヤドームで防御率1点台、7ホールドを記録している。他の投手も勝ち星こそつかないが粘りの投球を見せることが増えつつあり、このまま若手投手陣の奮起を期待したい。
一方で今後、夏場に向けて鍵を握りそうなのが、やはりベテラン選手の多さだ。主力の谷繁元信と和田一浩、代打の切り札として活躍する小笠原道大が40歳オーバー。守護神・岩瀬仁紀も今季終了後に40歳を迎える。
まだまだ彼らの存在抜きには中日の躍進も考えられないが、これから暑くなり、連戦が増える夏場に向けていかに疲労度を少なく乗り切るかも重要なテーマになるはずだ。今季ここまで打撃10傑入りしている大島洋平、平田良介を中心に、若手、中堅選手がもっともっとチームを引っ張る立場になる必要があるだろう。
△2013年セ・リーグ5位:DeNAの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?
チーム内のゴタゴタがあったものの、ゴールデンウィーク以降、2度の4連勝で盛り返してきた感があるDeNA。新ストッパーを三上朋也に任せるなど新たに台頭する投手がいるものの、先発陣を中心にまだまだ心もとない。だが、一番の課題はチーム打率がリーグ最下位の打撃陣だ。そんな中で気を吐いているのが梶谷隆幸と筒香嘉智の2人だろう。特に筒香は得点圏打率リーグ1位と進捗著しい。
筒香は、ポテンシャルに対してなかなか活躍しきれない「君コン選手」としてお祓いして欲しかった筆頭の選手だった。未完の大器の覚醒がチームにいい影響を与えることを期待したい。
出足につまずいたDeNA。しかし、DeNAにとっての本当の鬼門はこれから先、夏場にやってくる。昨季、8月の投手成績で多くの項目(勝敗、先発防御率、救援防御率、被安打率、与四球数、自責点など)がリーグワーストを記録したのだ。もっとも、投手の成績は「バッテリー間」の問題でもある。
そこで鍵を握るのが正捕手の存在になるのだが……今季、開幕マスクは黒羽根利規が務めたが、その後、?城俊人に代わり、さらには?岡賢二郎や西森将司もマスクを被ったりと、正捕手が全く定まっていない。開幕前に鶴岡一成(現阪神)が抜けた穴がここまで大きいとは。そろそろ「お試し期間」は終了にして正捕手を定めるべきではないだろうか。
△2013年セ・リーグ6位:ヤクルトの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?
リーグワーストのチーム防御率で苦戦を続けるヤクルト。その一方で打撃陣は好調だ。チーム打率は巨人と並ぶリーグ2位タイ(1位・阪神との差も1厘)。頼みの外国人選手は今ひとつだが、日本人野手、特に川端慎吾と畠山和洋の安定感が光っている。また、山田哲人を1番・二塁手で固定できていることが大きい。
やはり今年も「故障」に悩まされている。開幕前のキャンプは珍しく離脱者ゼロで打ち上げたが、その後に期待のドラフト1位・杉浦稔大が右ヒジの靭帯を断裂。また、右ヒジ手術からの復帰を目指していた館山昌平は再び右ヒジ靭帯を断裂してしまい、今季は絶望だ。そして追い打ちをかけるように、今季もエース級の活躍をしていたライアン小川こと小川泰弘の骨折……このケガの連鎖は、本当に呪われているとしか言いようがない。
過去にもしているが、真剣にお祓いをすることを再度、球団は考えたほうがいいのでは?
(※成績は5月12日現在のもの)
(文=編集部)