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DeNA発足後にファンクラブが他に類を見ない大変身! ファンクラブとファン増加の勢いが野球の勢いに繋がれ!

DeNAファンクラブの逆襲


 2012年、新生・横浜DeNAベイスターズが発足した。それまで、他球団と比べるとはるかに見劣りする特典内容だったファンクラブが、ここからついに逆襲のときが始まる。

 2011年秋に球団譲渡が決まり、時間的な余裕がなかったのだろう。2012年の特典では目に見える「改革」はなされなかった。それでも、前年までの継続年会費4000円を一気に2000円に大幅値下げを断行する。「まずはできることから始めたい」、そんな姿勢に僕は好感を持った。

 そして、DeNAとして2年目となる翌2013年。この年、ファンクラブはようやく運営方針を一新した。それまでは特典グッズに特化した「ファンクラブ」と観戦特典が手厚い「友の会」と、運営母体の異なる2つの組織が共存していた。しかし、これではファンにとっては金もかかり、入会手続きも煩雑となるし、運営サイドにとっても非常に効率が悪い。そのため、僕はいつも「来年こそは組織の一本化を!」と願い続けていたのだが、この2013年についに組織の一本化が実現。この年からは新たに「スペシャル会員」カテゴリーを新設。年会費8000円を支払えば横浜スタジアムで「7試合の観戦無料特典」が付くこととなった。他球団と比べれば、まだまだ見劣りするものの、この年ようやく改善の息吹が芽生えつつあった。

 こうして迎えた2014年、過去2年間の改革の種は、ついに大輪の花を咲かせることとなる。「レギュラー会員」は年会費3000円で「2試合分の観戦チケット」が付き、さらに人気ブランド、ユナイテッドアローズやアースミュージック&エコロジー、ニューエラとコラボレーションした「ビジネストートバッグ」「バッグ&ポーチセット」「キャップ」などから好きなものを一つ選べるようになった。


▲写真:下城英悟


 こうして、特典グッズも高品質で、他球団と比べてももっともコストパフォーマンスの高いファンクラブとなったのだ。

近い将来、「DeNA優勝」の可能性も?


 親会社がDeNAに代わってからの3年間。目に見える形でファンクラブは急成長した。「これだけの短期間で一気に超優良ファンクラブへと変貌した裏には、必ずキーパーソンがいるはずだ」と僕は考えた。

 そして、球団に取材を依頼すると、やはりそこには「改革者」の存在があった。拙著『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)に、そのインタビュー内容を記したので、ここでは簡単に述べることにするが、球団が譲渡された2012年シーズンからDeNAのファンクラブ担当部門に一人のキーパーソン・安田良平氏が転職してくる。

 かつて、楽天でファンクラブ担当の責任者だった彼は、それまでの経験を生かしてDeNAファンクラブの改革に着手するのだ。

 チーム初年度の2012年こそ、開幕直前での転職だったため、前任者が敷いたレールを踏襲する事から始まったものの、翌2013年には安田氏いわく「観戦に特化したファンクラブを球団が持っていないのはおかしい」と考え、前述したように「ファンクラブ」と「友の会」の一本化に奔走し、見事に実現したのだ。

 そして今年――。

 ようやく、彼の考える「理想のファンクラブ像」を実現する土壌が整った。他球団の「特典グッズ」はチームロゴが大きく入ったコテコテのグッズが多い中で、「ファンの人にもオシャレになってほしい」と人気ブランドとのコラボを立案。さらに、「球団のあるべき姿はファンに球場に来てもらって応援してもらうこと」というポリシーを持つ安田氏はすべてのカテゴリーで「観戦チケット」を特典とし、観客動員増を目指した。その結果、会員数は非公表ながら「倍々ゲームで増えている」という。

 過去10年間、すべての球団のファンクラブに入会してきたけれど、ここ3年間のDeNAファンクラブの充実ぶりは類を見ないほど目覚ましいものがある。

 前回述べたように、ファンクラブの充実度とチーム成績は相関関係にある。2013年にファンクラブ改革を行ったオリックスが今季絶好調だが、DeNAもまた数年後にはペナントレースの主役に躍り出る可能性も高い。それが、全球団のファンクラブに10年間入り続けた僕の、偽らざる思いなのだ――。


▲新人ながらも抜群の安定感で現在はストッパーを務める三上朋也。今後、三上の出番が増えてくることを切に願う。


■ライター・プロフィール
長谷川晶一(はせがわ・しょういち)/1970年生まれ、出版社勤務を経て、2003年にノンフィクションライターに。2005年よりプロ野球12球団のファンクラブすべてに入会する試みを始め、2014年まで10年連続で継続し、『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた! 〜涙と笑いの球界興亡クロニクル〜』(集英社)を上梓した(5月26日発売)。現在、「12球団ファンクラブ評論家」の肩書きで商標出願中。

主な著書に『夏を赦す』(廣済堂出版)、『マドンナジャパン光のつかみ方 世界最強野球女子』(亜紀書房)、『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』(白夜書房)などがある。
公式ブログ:真っ直ぐ、前を――

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