週刊野球太郎の連載企画「チームは回っているか!? 2019年 12球団編成採点!」では、12球団のここ数年の編成を「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」「育成状況」のカテゴリーごとに採点してきた。
今回はセ・リーグのまとめと近未来の展望を占う。
このオフに国内FA宣言をした選手たちは全員がパ・リーグを新天地に選んだ。一昔前とは時代が変わった。そんな気配が漂っている。だからといってセ・リーグの各チームが補強に手をこまねいてじっとしているわけではない。
2019年のセ・リーグ覇者である巨人はパーラ、ビエイラ、サンチェスと3人の新外国人選手を獲得。阪神はメジャー通算92発のジボアを補強するなど、各球団が外国人選手を中心に動いている。
週刊野球太郎の連載企画「チームは回っているか!? 2019年 12球団編成採点!」では、12球団のここ数年の編成を「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」「育成状況」のカテゴリーごとに採点してきた。
今回は“まとめ”として、この編成採点に今オフの状況を加え、セ・リーグ6球団の2020年シーズンを含めた近未来を占ってみたい。
2018年シーズンオフの巨人は国内FA権を行使した丸佳浩と炭谷銀仁朗を獲得するなど、ストーブリーグの主役となっていた。しかし、今オフは美馬学(楽天→ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天)とFA宣言をした選手2人の獲得に失敗したこともあり、外国人選手の獲得に力を入れている。すでに左打ちの外野手・パーラ、中継ぎ候補のビエイラ、先発候補のサンチェスと3人を獲得。1年前と違った形で補強を進めている。
坂本勇人、丸佳浩、岡本和真と打線の軸がしっかりしており、増田大輝や田中俊太、山本泰寛、若林晃弘、さらには山下航汰といった若手の成長が順調に進めば野手陣に当面の心配はいらない。
問題なのは先発投手陣である。山口俊の退団が濃厚となっており、菅野智之に続く投手の出現が待たれる。しかし、伸び盛りとはいえ高橋優貴や戸郷翔征といった2年目の選手に過度な期待をかけるのは酷。メルセデスや補強したサンチェスが結果を残すことが連覇へのカギとなる。
DeNAは筒香嘉智がMLB移籍を目指しており、退団することが濃厚。その穴埋めとしてオースティンを獲得した。しかし、ソト、ロペス、エスコバー、パットンの4外国人選手が残留。先発候補としてピープルズも獲得しており、外国人枠の使い方がポイントとなりそう。
もちろん、佐野恵太や細川成也といった日本人スラッガー候補の育成も大事になってくる。1年で筒香の代わりになるのは無理にしても、数年後には30本塁打を記録するような選手に育て上げたい。
阪神は長打力不足解消の切り札として、一塁手で起用がメインとなるボアを獲得した。それに伴い、2019年シーズンにおもに一塁を守ったマルテは三塁へと回ることになりそうだ。ただ、三塁には大砲候補の大山悠輔がおり、そこは競争となる。
投手陣はドリスとジョンソンの両中継ぎ投手が保留者名簿から外れており、ジョンソンは退団濃厚との報道が流れている。彼らの動向次第では中継ぎ投手の補強が必須となる。
先発投手ではソフトバンクから無償トレードでベテランの中田賢一を獲得している。これが、現時点でドラフト会議を除いて唯一の補強でもある。そのドラフト会議でも6人中、5人が高校生だった。即戦力候補となりそうな選手はいない。2020年シーズンからしばらくは、育成が中心となりそうな気配が漂っている。
広島は例年通りFA選手への動きはなく、外国人選手の補強を進めている。すでにDJ・ジョンソン、スコットの2投手に加え、外野手のビレラと合計3人の外国人選手を迎え入れた。ドラフト会議では即戦力候補として森下暢仁(明治大)を1位で獲得。開幕ローテーション入りが期待されている。
ポスティングシステムによるMLB移籍を目指す菊池涼介の穴を埋められるような即戦力候補の獲得は今のところ行っていない。小園海斗がフェニックス・リーグでは二塁の守備にも就いており、コンバートも視野に入る。金の卵をどのように育成するのか注目が集まる。
若手の成長著しい中日は中継ぎ候補のゴンザレス、外野手のシエラ(育成)と2人の外国人選手を獲得した。一方でセットアッパーを務めたロドリゲスは退団が濃厚。マルティネスは、キューバ政府との交渉次第となっており予断を許さない状況だ。
ロドリゲスの代役はゴンザレスが担うことになるが、マルティネスも退団となればさらなる補強に動くかもしれない。先発は梅津晃大、山本拓実、小笠原慎之介といった若い投手陣たちがシーズンを通して投げきることができるかが、カギを握りそうだ。
一方、野手ではビシエドとアルモンテの両外国人選手が残留。レギュラー陣もほぼ固定されており、控えを含めたバックアップの底上げが大事になる。固定メンバーは若手選手を起用しにくい側面もあり、次世代の若手をどのように育成していくかが悩みどころだ。
最下位に沈んだヤクルトは遊撃手のエスコバー、先発候補のイノーアと2名の外国人選手を獲得。ほかにも嶋基宏、今野龍太(ともに前楽天)、長谷川宙輝(前ソフトバンク)と他球団を自由契約となった選手も積極的に補強している。
ドラフトでは1位の奥川恭伸(星稜高)こそ高校生だったが、2位以下では即戦力候補となる大学生の投手を中心に指名しており、立て直しを図っている。育ちつつある高橋奎二、そして寺島成輝をはじめとした若手を育成し、戦力とできるかが今後のカギとなりそうだ。
文=勝田聡(かつた・さとし)