誰もが認める巨人の看板選手のひとり、坂本勇人。高卒・生え抜きの内野手は、2年目からショートのレギュラーに定着。10年目となる今季まで、好不調の波はありつつも、ほとんどの試合に出場しチームを支え続けている。
そんな坂本も、これまで打撃三冠のタイトルとは無縁。2012年に173安打を放ち最多安打のタイトルは手にしているが、首位打者、本塁打王、打点王にはまだ未到達だった。
今季の坂本は、9月14日終了現在で打率.347。2位の鈴木誠也(広島)が.337だから、決してセーフティーリードとはいえないが、バットマンレースの先頭を突っ走っている。
これまで規定打席に達して3割を超えたことは、2009年の打率.306(リーグ4位)、2012年の.311(同2位)と、2度経験している。
しかし今季は、その2年とはレベルが違う。開幕当初から3割をキープし、4月の終わりの4試合では14打数8安打4本塁打と大爆発。その後も、大きく調子を落とすことなくキャリアハイのアベレージを刻み続けている。
坂本の対戦チーム別の打率を見ると、セ・リーグではDeNAのみ打率.293と3割を切っているが、それ以外の4球団相手ではすべて3割オーバー。とくに中日相手には.444。吉見一起に対しては14打数7安打、大野雄大とは11打数4安打、若松駿太とは5打数2安打、リリーフの柱である田島慎二にも3打数3安打と、主力投手をきっちり攻略できている。
中日とは、9月21、22、27、28日と4試合を残していて、これがすべて東京ドーム。ホームの利を生かし、得意チーム相手に安打を量産して鈴木(広島)を振り切りたいところだ。
もう若手という年齢(27歳)でもなく、昨季からはチームの主将に任命されている坂本。ペナントレースが終われば、10月8日からのクライマックスシリーズ、さらには日本代表のメンバーとしても、来年3月に開催されるWBCでの活躍も期待される。
弾みをつけるためにも、首位打者のタイトルはぜひとも獲得したい。残りゲームでの坂本のバットに注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)