今年からソフトバンクの2軍ならびに3軍の本拠地が、福岡市内の雁の巣から筑後市へと移転した。
JR九州・筑後船小屋駅(ちくごふなごやえき)を降りてすぐ目の前に広がるのが「HAWKSベースボールパーク筑後」。21,654.68坪の敷地には、ヤフオクドームとほぼ同サイズの「タマホーム スタジアム筑後(愛称:タマスタ筑後)」に、3軍の試合にも使えるサブスタジアム(建設中)、そして屋内練習場や合宿寮、クラブハウスも併設されている。
「HAWKSベースボールパーク筑後」は、3月15日に竣工。19日のウエスタン・リーグの広島戦で初お披露目となった。
開幕ゲームは3,113席が完売し、4月3日までに行われた8試合の合計観客動員数は1万8,473人(1試合平均2,309人)と、福岡中心部から離れた場所の2軍戦にもかかわらず、大勢のファンが詰めかけている。
選手層の厚いソフトバンクなだけに、2軍戦に出場する選手の年齢、キャリアは幅広い。
ケガで出遅れた細川亨や中田賢一、寺原隼人らのベテラン勢に、1軍枠から溢れてしまった東浜巨、岩嵜翔、江川智晃、上林誠知らが「早く上げてくれぇ」とばかりに連日アピールを続けている。
ほかにも、まだ1軍キャリアのない伸び盛りの真砂勇介も活躍中で、2014年ドラフト1位の加治屋蓮や、元巨人の笠原将生の実弟の笠原大芽らも、1軍登板を目指して汗を流している。
抑え投手のロベルト・スアレスは、早くも2勝4敗(4月3日現在)と活躍中で、1軍の外国人3投手も、うかうかしていられない状況だ。
3月31日の阪神戦は、代打・真砂のサヨナラヒット。翌4月1日のオリックス戦では猪本健太郎が逆転サヨナラ打と、連日の好ゲームに観衆も沸いた。
ちなみに「HAWKSベースボールパーク筑後」のある筑後船小屋駅付近は、見渡す限り民家と畑ばかり。新幹線の駅改札口にキヨスクがあるほかは、飲食店やお店が全く見当たらない。もっとも近いコンビニでも1キロ以上離れており、飲み屋もパチンコ屋も歓楽街も、どこを探しても見つからない。
試合や練習を終えた後、遊ぶところのない選手は、疲れた体を休めるか、練習するくらいしかすることがない。野球漬けの「筑後組」から、未来のスター選手が何人生まれるのか。今から楽しみである。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。ライター、イベント関連など、スポーツ関連の仕事を精力的にこなしている。北海道生まれなのに、ホークスファン歴約40年。99年ダイエー初Vを福岡ドームで観戦するなど、全国を飛び回りながら、1軍2軍問わずプロ野球を追いかけている。