各地区の秋季大会とドラフト会議が終わり、高校野球の喧騒もひと段落。大きな大会は明治神宮大会を残すのみ。球児たちにとっては来春に向けた練習の日々が始まる。
今回の『高校野球最前線・秋の陣』は東京、関東、近畿の秋季大会のまとめと来春のセンバツ出場校の展望をお届け。
11月4日に明治神宮球場で行われた平成最後の秋季東京都大会決勝。東海大菅生と国士舘の一戦は、東海大菅生が4年ぶり、国士舘は10年ぶりの優勝を目指すものとなった。
試合は初回に4点を奪った国士舘が、1点差まで猛追されるも辛くも逃げ切り勝ち。永田昌弘監督いわく「国士舘史上裁定のチーム」という触れ込みでスタートした世代だったが、終わってみれば最高の結果を残した。
この優勝で来春のセンバツ出場が確定。10年前は福知山成美(京都)の前に1回戦負けだったが、前評判を跳ね返したナインなら必ずや大仕事をやってくれるはずだ。
近畿大会準決勝は明石商(兵庫)が12対0で智辯和歌山(和歌山)を下し、龍谷大平安(京都)は履正社(大阪)に7対0で勝利。いずれもコールドで大勝し、勢いに乗る両チームのだけに決勝はどんな打ち合いになるか注目が集まった。
しかしフタを開けてみれば投手戦に。龍谷大平安の先発・野沢秀伍は明石商打線から11安打を浴びながらも要所を締め12回を1失点に抑えると、12回裏に3番の多田龍平がサヨナラ2塁打を放ち、龍谷大平安が2対1で栄冠をもぎ取った。
背番号「11」の野沢は準決勝で107球を投げていたが、決勝戦でも179球の熱闘。秋季近畿大会前に失った背番号「1」を取り戻すためにプライドを見せつけた。
すべての地区の秋季大会が終わり、センバツ出場をほぼ当確にしたチームが出揃った。確実なところでは各地域の優勝、準優勝チームが挙がるが、気になるのはやはり6枠が与えられている関東・東京地区と近畿地区だ。
関東・東京地区は、優勝した桐蔭学園(神奈川)と国士舘のほか、関東大会準優勝の春日部共栄(埼玉)に、ベスト4の習志野(千葉)、山梨学院(山梨)、東京都大会準優勝の東海大菅生の上位陣が有力視されている。
一方、近畿はベスト4に残った龍谷大平安、明石商、履正社、智辯和歌山は確定の向きあり。残る2枠を福知山成美(京都)、大阪桐蔭(大阪)、報徳学園(兵庫)、市和歌山(和歌山)で争うと見られている。
ミレニアム世代の活躍で最近の甲子園常連だった大阪桐蔭と報徳学園が、ボーダーラインにいるのは非常に興味深い。1月25日に吉報が届くのはどのチームだろうか。
一時代を作ったミレニアム世代が去り、新たな怪物が登場しつつもまだ確たる流れが見えない高校野球界。11月9日に開幕する明治神宮大会で、なにかのベクトルが示される可能性がある。
次回の「高校野球最前線」では、新たな道をレポートしてみたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)