オフも束の間、プロ野球はキャンプインを迎え、いよいよシーズンに向けての助走が始まる。この時期、やはり気になるのは新外国人の実力だ。1軍外国人枠は4枠。少なくとも3枠はフル稼働しなければ、日本一の栄冠を手にすることはできない。
あらためて、今シーズン注目の新外国人をチェックしてみたい。
■昨季成績
MLB:137試合 / 打率.260 / 16本塁打 / 67打点 / 2盗塁 / OPS.728
新外国人番付の西の横綱はアダム・ジョーンズで間違いないだろう。2010年代のオリオールズの主力であり、2011年から2017年には、7年連続で20本塁打を達成している。
2018年は15本塁打に沈み、昨季はダイヤモンドバックスでプレーしたが、いまだにレギュラー格の座を維持しており、「バリバリのメジャーリーガー」といえる。
ただし、メジャー通算打率.277に対し、出塁率.317とフリースインガーの傾向もある。早い段階から強打者であることを知らしめ、勝負を避けられるような展開になれば、日本での出塁率の上昇も見込める。
2009年、2012年から2014年かけてはセンターで4度のゴールドグラブ賞を受賞したことも宣伝されているが、現在の守備力はそれほどではない。実は全盛期もセイバーメトリクス指標は突出しておらず、米ファンの間でも議論になった。
そして、2017、2018年にはスタッツを大きく落とし、昨季はライトにコンバートされた。確かに日本にやって来る新外国人の中では、かなり守れる方だが、旬は過ぎた感がある。
■昨季成績
MLB:119試合 / 打率.234 / 9本塁打 / 48打点 / 8盗塁 / OPS.684
巨人の新外国人・パーラも面白い存在。メジャー通算11年で通算打率.276、88本塁打の中距離打者。本塁打こそ15年の14本が最高だが、打率3割前後に持っていくシーズンもあり、巧打者といえる。
また、2011年と2013年にはレフトで2度のゴールドグラブ賞を受賞している。さらに2013年にはセイバーメトリクスの専門家が決めるフィールディング・バイブル・アワードも受賞しており、名実ともにレフト守備の名手である。
とはいえ、それは7年前の話であり、さすがに守備範囲は狭まっているだろう。ただ、強肩や球際の強さは健在でセイバーメトリクス指標もメジャー平均以上をマークしている。メジャー6球団を渡り歩いたが、好守備があったから出番を得られた。
■昨季成績
3A:96試合 / 打率.286 / 10本塁打 / 70打点 / 6盗塁 / OPS.787
バレンティンが去ったヤクルトは趣向を変えた補強を敢行した。エスコバーは助っ人では珍しいショートストップ。それも15年にゴールドグラブを獲得した名手である。特に肩は目を見張る強さがあり、今宮健太(ソフトバンク)も目じゃないクラスの鬼肩だ。全盛期からはやや衰えているものの、メジャーのショートは伊達じゃない。
走塁では30盗塁超えを2度マークしており、チーム状況に合わせて走れる。
ただし、問題は打撃。メジャーで11年プレーし、9年間レギュラー格だったが、通算打率.258、出塁率.293、41本塁打の微妙な打撃が毛嫌いされ、昨季はついに3Aでシーズンを過ごすことになった。
その分、今季の推定年俸は80万ドル。守備だけでいいと割り切れば、お買い得であり、ヤクルトファンは割り切れる胆力を持っている。俊足好守の職人助っ人に期待。
■昨季成績
MLB:2試合 / 0勝0敗 / 投球回10 / 9奪三振 / 防御率0.00 / WHIP0.40
投手の大物筆頭はムーアだろう。2012年にレイズで11勝11敗、2013年に17勝4敗の好成績を残したスターター。2014年にトミー・ジョン手術を受けたが、2015年の後半に復帰し、2017年までレイズとジャイアンツでローテーション投手を務めた。
しかし、年々各種スタッツは悪化しており、2018年はレンジャーズでミドルリリーフに配置転換。2019年も開幕早々、打球が直撃して右膝を割り、シーズンを棒に振った。
年俸350万ドルといわれているが、数字だけ見ると活躍できるかは非常に怪しい。それでもナックルカーブとチェンジアップは常に有効であり、威力が落ちてきたフォーシームが日本で通用すれば、復活もあり得る。
■昨季成績
MLB:52試合 / 打率.172 / 8本塁打 / 26打点 / 0盗塁 / OPS.623
3A:49試合 / 打率.316 / 17本塁打 / 43打点 / 2盗塁 / OPS1.104
関西メディアいわく「バースの再来」のボーアも実力者だ。2015年にマーリンズで23本塁打を放って台頭し、3度の20本塁打を記録。2017年には準レギュラー格ながら打率.289、25本塁打、83打点、OPS.902をマークした。
長打力もあり、出塁率も.350前後を期待できるのだが、大きな欠点があり、左腕が苦手。通算で右投手に対しては打率.262を記録しているが、対左投手は打率.215。メジャーでは簡単に割り切られてしまい、いわゆる右投手専門のモノトーン起用になってしまった。
それでも生き残る力はあったのだが、昨季スランプにはまってしまい、年齢とポジション的にも高評価を得ることは難しくなってしまった。
しかし、3A降格後は状態を上げており、かなりの好成績を叩き出した。本当にバースになる可能性もなくはない。
文=落合初春(おちあい・もとはる)