1999年のドラフト4位で入団し、2011年までダイエー・ソフトバンクでプレー。その12年間で1343安打、267盗塁を記録。2004年には最多安打と盗塁王に輝いた。ほかにもベストナインに2回選出、ゴールデン・グラブを2回受賞しただけでなく、オールスターゲームにも2004年から2011年まで8年連続で出場している。人気、実績は申し分ない。
渡米後の5年間は、メジャーで276試合出場、150安打となかなか出番に恵まれなかったが、3月19日(日本時間)に行われた侍ジャパンとカブスとの強化試合では、1番・遊撃でスタメン出場。内野安打で出塁すると盗塁も決め、本塁に生還するなど、ハツラツとしたパフォーマンスを見せた。年齢を重ねたことでまったく衰えがないとは言えないが、アメリカで得た経験もある。トータルで大きなダウンはないと考えていいだろう。
チームのキャプテンでもある内川聖一は、川崎の移籍について、4月1日の試合後のヒーロインタビューの際に「いつもオフにはゴルフと食事をご一緒させてもらってるんですけど、あれ、もしかして帰ってるのかな、っていう雰囲気を感じていたので、すごくうれしいですし、ムネさんの明るさがチームにとって絶対プラスになると思いますので、早く来て欲しくてしょうがないです」と歓迎の意を表した。
ただ、「どこを守るのか?」という問題もある。おそらく遊撃、三塁、二塁のいずれかだろうが、それぞれハイレベルの主力選手たちが揃っているだけに、まずは攻守のスーパーサブとしての起用が現実的か。
とはいえ、仮にサブ要員だったとしても、なによりワールドクラスの陽気さは、ベンチにいるだけで戦力となるに違いない。
工藤監督も会見で「彼が入ることで、(ポジション争いに)厳しさも出てくると思います。でも、そういったなかで切磋琢磨していくのが野球選手。新たなライバルが入ることで、よりレベルアップがはかれるんじゃないかと思います」と、チームの活性化を望んでいる。
すでに2軍の練習場には多くのファンが詰め掛けており、1軍昇格へ向けて周囲の期待も高まっている。野手最年長となるが、「体はキレッキレです。自信はあります」と意気込む川崎。12球団一との呼び声も高いソフトバンクの選手層にさらに一枚厚みを加わった。敬愛するイチローのひとつ上をいく背番号「52」を背負った2017年が始まる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)