巨人のベテラン勢が奮闘している。その筆頭が阿部慎之助だ。
右肩痛などもあって1軍合流は2カ月以上も遅れたが、7月8日から8月7日までは23試合連続安打を記録。また、今季初の4番に座った7月24日以降、8月14日までで13勝6敗とチーム成績も安定している。
今季は規定打席未到達ながら打率.297と、首位打者に輝いた2012年(打率.324)以来4年ぶりの3割到達の可能性も十分。連続試合安打が途切れて以降は、バットがやや湿り気味なだけに、もうひと踏ん張りしたいところだ。
昨季は打率.236と、ルーキーイヤーに次ぐ低打率に終わった村田修一(ルーキーイヤーの打率は.224)。正念場となった今季だが、現在のところ全試合に出場し(村田以外は長野久義のみ)、打率.310(8月17日現在)と結果を出している。
開幕前は、期待の若手・岡本和真とのサードのポジション争いが展開されそうな雰囲気もあったが、守備も含めた安定感は、やはり村田に一日の長。岡本の伸び悩みもあったとはいえ、結果的には役者の違いを見せつけた格好となった。
投手陣では、内海哲也の復活も見逃せない。
2011年に18勝、2013年に15勝で、2年連続最多勝のタイトルホルダーも、年を追うごとに成績が下降し、昨年は登板5試合で2勝1敗。衰えも囁かれた内海だったが、今季は5月こそ2連敗したものの、6月以降は7勝2敗とチームに貢献している。
8月17日の先発時も、敗戦投手にはなってしまったが、8回途中までで2失点とゲームは作った。大黒柱の菅野智之が、好投しながらも勝ち運に見放されているような試合が多いだけに、内海の左肩にかかる期待も大きい。
首位・広島とは8月17日終了時点で7.5ゲーム差。残り試合は30前後ということで、巨人のリーグ優勝の可能性はかなり厳しくなってきたのが現実だ。
ただ、3位以上はほぼ確定という状況。経験豊富なベテラン勢が夏場をうまく乗り切れれば、短期決戦のCSで広島を慌てさせるシーンが見られるかもしれない。
今年は耳をふさぎたくなるようなバッドニュースも多かった巨人だけに、秋にはG党を興奮させるようなシーンを熱望したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)