2008年のドラフト会議は、2005年から続いていた高校生ドラフト、大学生・社会人ドラフトの分離ドラフトがなくなり、2004年以来の統一ドラフトとなった。また、前年に希望入団枠が撤廃されたことで、逆指名制度導入前である1992年以前のドラフト会議の形に戻った。そんな2008年のドラフトを振り返る。
この年のドラフト1位で、現在活躍しているのは日本ハムの大野奨太のみ。こうした現状が語るように、伸び悩んでいるドラフト1位の選手が多くを占める。
代表は巨人の大田泰示だ。「松井秀喜の後継者」と期待されて背番号55を背負うも、なかなか1軍に定着できず、昨季からは背番号が44に。シーズン終盤に活躍し「ようやく大器覚醒か」と思われたが、今年は自身最多の60試合に出場するも、目立った活躍ができず再び伸び悩んだ。
他にも中日の野本圭、DeNAの松本啓二朗、広島の岩本貴裕と期待通りの活躍ができず、もどかしい状態の野手が多い。そんななか、ソフトバンクの巽真悟、ロッテの木村雄太(現・木村優太)は今年、プロ7年目にして初勝利をマーク。ここからの巻き返しを図る。
また、高校生投手ではオリックスの甲斐拓哉が2012年に、ヤクルトの赤川克紀が今シーズン終了後に戦力外となっている。西武の中?雄太は2年連続で1軍登板がなく、来年は背水の陣となりそうだ。
ドラフト1位の選手が伸び悩む一方、ドラフト2位の選手になると活躍する割合がグッと増えている。ソフトバンク2位の立岡宗一郎は、2012年シーズン途中の巨人移籍後、ヒジのケガで右打者から左打者に転向。今年はシーズン途中から1番打者に定着して飛躍の年となった。
育成選手ドラフトに目を向けると、8選手を指名したロッテからは岡田幸文、西野勇士が後に支配下登録され、主力選手へと這い上がった。
球団別で見ると日本ハムの下位指名が興味深い。5位・中島卓也、6位・杉谷拳士、7位・谷元圭介と、現在チームを支えている選手を相次いで指名し、活躍している。特に中島の高校時代は、三嶋一輝(現・DeNA)と同期の「高校生としては好選手」程度の評価だった、いわゆる“無名”な選手ながらも、ショートのレギュラーをつかみ、今年は初タイトルとなる盗塁王を獲得した。
日本ハムはこの後、2010年の5位で谷口雄也、翌11年の4位で近藤健介、6位で上沢直之と、1軍で活躍している高卒選手が続いている。今年のドラフトではどんな選手を下位指名するだろうか? 日本ハムのドラフト戦略に注目しよう。
文=武山智史(たけやま・さとし)