カープ女子! オリ姫! 鷹ガール!
ここ数年、球場に足を運ぶ女性ファンが急増し、ひと昔前と比べてスタンドの雰囲気は激変した。
酔っ払いのおじさんがガラガラ声で野次っていた時代はもう遠い過去のこと。今では黄色い声援が、球場内を凌駕している。
今シーズン、野球場に足を運んだ多くの女性ファンに知っておいてもらいたいことがある。野球場には、思いも寄らぬ魔の手がひそんでいるのだ。
例えば、グラウンド内に設けられたフィールドシートは、エキサイティングシートとも呼ばれ、グラウンドにいる選手とほぼ同じ目線で、野球を観ることができるエリアだ。
現在は阪神タイガースの打撃投手を務めている、元プロ選手はこう言う。
「僕はあのフィールドシートには怖くて座れない。いつも思うが、一般の人は何も知らないから座っていられる」
筆者も京セラドームのフィールドシートに座って観戦した際は、試合中は打球が怖くて、打者から目を離せなかった。どうしても、向かってくるライナー性の打球が飛んでくる危険性を感じてしまうのだ。
ところが、前の席では女性ファンが談笑し、お弁当を食べている。もちろんグラブは持っていないし、ヘルメットも被っていない。視線もお弁当箱にある。まったくの無防備状態であった。
打球の怖さとは、いったいどれほどのものなのか?
打球の怖さを知りたければ、早くから球場入りし、外野席で打撃練習を見学することをお勧めする。
オーバーフェンスされたボールが、プラスチック製のイスに当たる衝撃音は半端ではない。
そして、打球が飛んでくる軌道も、必ずしもまっすぐではないことがわかる。鋭い打球であればあるほど、球は回転し、ラインドライブしたり、スライドしたりして向かってくるのだ。
周りに誰もいないのに、どうして避けられないのか? と思うかもしれない。しかし、あれは打球の変化が読めずに当たってしまうのだ。
球場でファウルボールに当たる確率は、宝くじに当たる確率と、大差ないくらい低いだろう。しかし、当たったときの代償は計り知れない。
今年5月には、プロ野球観戦中にファウルボールがファンの目に当たってしまった事故についての裁判が行われた。被害者は失明し、球団側を相手に損害賠償を求めている。
野球を知っている人の方が恐れるファウルボール。女性ファンの皆さま、どうか、イケメン選手を追うのはほどほどに、これからはボールの行方も追ってください。
文=まろ麻呂