プロ野球は開幕間近、高校、大学、社会人も新たなシーズンを迎えようとしているこの時期、野球ファンにとって欠かせないアイテムが選手名鑑だ。いろんな出版社の選手名鑑が書店の棚を賑やかしているなか、本誌『野球太郎』も『野球太郎No.030 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2019』を発売。ドラフト情報、戦力分析に強い『野球太郎』だけに、毎回、他の名鑑とはひと味違う内容となっている。
プロ野球観戦にも、アマチュア野球観戦にもうってつけ。各地のライター陣が足で稼いだ貴重な情報も満載の一冊としてマニアなファンから支持されているが、今回はその読みどころを紹介しよう。
巻頭のカラー特集『ドラフト候補ドラフト候補 トップランナーを追いかけろ!』では佐々木朗希(大船渡高)、及川雅貴(横浜高)、奥川恭伸(星稜高)、西純矢(創志学園高)ら高校BIG4を筆頭に、ドラフト戦線の先頭を走る15選手が野球カードのスタイルでピックアップ。“野球界の未来”でキラキラと幕を切ってから、誌面は『2019プロ野球戦力分析&選手名鑑』へと進む。
『2019プロ野球戦力分析&選手名鑑』で掲載されている選手は全913名。「WHAT?(選手としてのタイプ、役割、球歴など)「GOOD(長所、観戦時の注目ポイント、技術的な情報)、「BAD(欠点、課題)」、「ADVICE」(選手への熱いメッセージを込めたお節介アドバイス)」、「タイプチャート」を交えながら、2軍や育成の選手もしっかりと紹介されているのは嬉しいポイントだ。
また、各球団の戦力分析ページでは「チームバランス」「投手陣」「野手陣」の項目ごとに戦力をチェック。昨季の戦力と比較したチャートやグラフ、チーム構成表、「野球太郎のお薦めオーダー」も載っており、“今のチーム状態”が一目瞭然。ファンがやきもきしているオーダー……たとえばコマ不足に頭を抱えるオリックス、中日の先発陣、阪神の野手陣などのオーダーを眺め、「コレだ!」「いや違う!」と思案してみてはいかがだろうか。
このプロ野球パートの最後には、NHK『球辞苑』への出演でお馴染みのライター、“炎のストップウオッチャー”ことキビタキビオ氏による『日本人強打者のホームランと滞空時間で分析』を掲載。山川穂高(西武)、柳田悠岐(ソフトバンク)、岡本和真(巨人)が放った本塁打の滞空時間と飛距離を計測・分析。2年前に分析した山田哲人(ヤクルト)、筒香嘉智(DeNA)、鈴木誠也(広島)との比較も含めた力作となっている。
そしてさらに12球団全913選手の『年代別インデックス』の掲載。これを見れば「◎◎世代」や同級生関係がぱっとわかる。なお、現役で一番古い世代は「1975年度世代」。上原浩治(巨人)と福浦和也(ロッテ)の2人が、最古参として生き残っている。
ここから誌面はドラフト候補選手名鑑へと続く。高校生では有望選手名鑑で33名、寸評を添えた有望選手リストで356名をピックアップ。大学生では名鑑で30名、リストで268名。社会人は名鑑で30名、リストで144名。独立リーグは名鑑で8名、リストで45名……名鑑で合計101名、リストで813名の名が並ぶ様は圧巻だ。
ドラフト候補選手名鑑では「能力チャート」「プロ注目度」「将来性数値」とともにタイプと特徴を紹介。また高校、大学、社会人のコーナーでは、本誌でお馴染みの4人のドラフトウオッチャーによる恒例企画『スカウト的観戦者カルト座談会』、キビタキビオ氏による注目選手のタイム分析ページにも誌面が割かれるなど、濃い情報が盛りだくさん。カルト座談会ページでは、全国的にはまだ無名の隠し玉候補やロマン枠候補の名も挙がっているので、“ドラフト先取り情報”としても使い勝手は抜群だ。
そして、座談会ページ内にある「まさかプロで大成するとはと驚いた選手は?」「プロで通用しなかったことに衝撃を受けた選手は?」などのミニコーナーも、ニヤリとする小ネタ。ドラフトファンなら記憶をさかのぼってアレコレと楽しめる要素が山盛りとなっている。
なお、本誌編集部&ライター陣が見立てた「ドラフト注目度」で最高ランクのAがつけられているのは、高校生では冒頭で名を挙げた佐々木朗希(大船渡高)、及川雅貴(横浜高)、奥川恭伸(星稜高)、西純矢(創志学園高)、大学生では伊藤大海(苫小牧駒澤大)、社会人では太田龍(JR東日本)と立野和明(東海理化)の計7名となっている。
ほかにも森下暢仁(明治大、ドラフト注目度B+)、津森宥紀(東北福祉大、ドラフト注目度B+)など逸材はひしめいている。ドラフト候補名鑑を眺めながら彼らの成長を秋まで追ってほしい。
今年も濃すぎる充実の内容で登場した『野球太郎No.030 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2019』。この名鑑を片手に今シーズンも野球を楽しもう。
■Information
3月末には本誌最新号『別冊野球太郎 2019春 ドラフト候補最新ランキング』が発売。読者投票によるドラフト候補のランキングコーナーも掲載されます。お楽しみに!
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)