2015年の新語・流行語大賞の年間大賞に、野球界からトリプルスリーが選ばれたことに疑問の声が上がっている。
野球・イズ・ジャスティスという思想の元、生きている僕としては本来なら火の出るような勢いで弁護したいところだが、今回はさすがに厳しい。だって野球ニュースの本丸であるスポーツ新聞でも大して流行ってなかったもの。
そりゃ小木ママも納得いかないわよ。というワケで今回はスポーツ新聞における今年の流行語大賞を勝手に決定したい。みなさん、何だと思いますか?
正解は、とにかく明るい安村の『安心してください、履いてますよ』だ。
これはもう過去にない頻度で使われている。今なら1週間、目を通せば確実に発見できるレベル。
その秘密はフォーマットの完成度の高さがもたらす使い勝手の良さ。たとえば12月11日のスポニチでは、手術後初の公開練習をした田中将大に対して『安心してください』のあとに『右肘の回復順調ですよ』、さらに『初自炊キャンプも料理上手ですよ』と続く。
ゴロなんて何ひとつもあってなくても『安心してください』で始まって『〇〇ですよ』で終わればなんとなく成立してしまうのだ。
見出しを考える記者さんもきっと大助かりだと思う。
そして忘れてはならないのが、とにかく明るい安村という芸名。こちらも『とにかく〇〇(形容詞)××(人名)』の形で破竹の勢いで使用されている。余計なお世話だがスポーツ新聞はお歳暮のひとつも送った方がいい。
ちなみに第2位は黒田(カープ)関連の記事の決まり文句である『男気』。
最近でも黒田の奮闘を振り返った『40歳男気のルーティン 黒田の中4日』や、契約更改での『カープ男気2億円アップ提示』(12月18日・ニッカンスポーツ)と黒田が動けば男気も動く状態。
契約更改なんて純然たる経済行為なのになぁ。そのうちおにぎりを食べただけなのに、男気おにぎりなんて見出しが踊りそうである。
文=御手洗あつひこ
幸楽(@渡る世間は鬼ばかり)のような中華料理屋でスポーツ新聞を読むことをこよなく愛するダメライター。その経験を生かして野球太郎で年に一度だけ『ドラフト当日の新聞報道徹底検証』の記事を担当する。好きな紙面レイアウトはスポニチ。