佐藤は2015年のドラフト6位でオリックスに入団。仙台育英のエースとして夏の甲子園で準優勝したわりに指名順位が低かったのは、「アーム投法」だったことも一因だろう。ヒジを伸ばしたまま投げるアーム投法は、一般的に故障しやすいとされる。
しかし今、佐藤が改善に取り組んでいるのはアーム投法の腕の振り方ではなく、腕の高さ。オーバースローからサイドスローへの転向に挑んでいるのだ。
プロ入り後の佐藤は、1軍登板はまだない。ファームでの成績は以下の通りだ。
■2016年
12試合:4勝4敗/防御率5.37
■2017年
12試合:2勝1敗/防御率5.00
おもに先発として登板し、いずれも防御率5点台。高卒投手の1、2年目としてはそこまで悲観する状況ではないが、さらにステップアップを目指しフォーム改造に着手した。
昨年の11、12月に台湾で行われた2017アジアウインターベースボールリーグに佐藤はNPBウエスタン選抜のメンバーとして参加。途中からサイドスローを披露した。
トータルでは5試合に登板して0勝3敗、防御率は5.21。制御がきかず相手打者にぶつけてしまったり、シュート回転したストレートを痛打されるシーンが目についたものの、鋭く落ちる変化球で三振も奪うなど、試合を重ねるごとにサイドスローの可能性を感じさせる投球を見せた。
今季が高卒3年目となる佐藤の同期には、すでに1軍でプレーしている選手も出ている。
仙台育英のチームメイトだった平沢大河(ロッテ)は、2016年は23試合、2017年は50試合に出場。2年とも打率は1割台だったが、今季のオープン戦では3割を超え、ブレイクが期待される。
また、甲子園の決勝で佐藤と投げ合った東海大相模の小笠原慎之介(中日)は、すでに1軍で通算7勝をマークしている。
そして、こちらも東海大相模出身で、小笠原と2枚看板として活躍した吉田凌(オリックス)も順調に成長。
なお、佐藤はドラフト6位で吉田は5位。背番号は佐藤が67で吉田が66。選手寮の部屋も隣同士。1軍昇格は佐藤が早かったが、初登板は吉田が先。また、吉田は2017アジアウインターリーグで完封勝利を挙げている。
佐藤にとってこういった関係の近い同い年の選手たちの活躍が刺激にならないはずはない。
春季キャンプでは、OBの山田久志氏に教えを請いシンカー習得を目指すなど、貪欲さも見せた。モデルチェンジが奏功し、1軍マウンドで躍動することを期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)