まずはオープン戦で首位を走るロッテ。10試合を戦って4点以上失ったのは1試合だけと投手陣の仕上がりは上々だ。
特にルーキーが奮闘しており、佐々木千隼(1位、桜美林大)が下馬評通りの実力を示せば、負けじと酒居知史(2位、大阪ガス)、有吉優樹(5位、九州三菱自動車)も台頭。伊東勤監督にとってはうれしい悲鳴だろう。
ロッテを2位で追う阪神は、3月11日から14日にかけて3試合連続で5点以上を奪うなど打撃陣が好調。なかでも昨季の新人王・高山俊は、3割を優に超える打率を残し、2年目のジンクスとは無縁な模様。目標とする「3割・20本」も夢ではない。
また高山と1、2番コンビを組むと予想される北條史也も、3割前後の打率をキープしており順調。金本知憲監督が掲げた昨季のスローガン「超変革」がいよいよ身を結んできた。
一方で、10戦で3勝7敗と負け越し、仕上がりに不安を残しているのが巨人。チーム防御率4点台の投手陣も気になるが、3月11日のオリックス戦、12日の阪神戦で、ともに1安打に封じ込まれた打撃陣も心配だ。
14日のソフトバンク戦は、阿部慎之助がナインにカツを入れたことで8安打と盛り返したが、それでも奪えたのは3点。まだまだ物足りないと言わざるを得ない。
坂本勇人と目下急成長中の小林誠司が侍ジャパンから帰還すれば、チームの雰囲気がガラッと変わりそうだが、それまでに「土台」は残った選手で作っておきたいもの。31日の開幕までにどこまで盛り返せるか注目したい。
ほかの選手では、右足首痛でWBCを断念した大谷翔平(日本ハム)も気になる。
経過は順調のようで、3月14日のDeNA戦に3番・DHでオープン戦初出場を果たすと、3打数2安打、1本塁打、2打点の大暴れ。本塁へのスライディングを見せるなど、治療に専念したことが功を奏したと思わせる動きを見せた。
WBCで世界を相手に躍動する大谷も見たかったが、激闘続きの侍ジャパンを見ると、体に不安を抱えた選手では戦えないこともわかる。
今季の大谷には「無理してWBCに出なくてよかった」とファンを納得させる「二刀流ぶり」を示してほしい。
最終チェックの第1弾は、ロッテ、阪神、巨人、そして大谷を取り上げた。
「オープン戦と本番は違う」という意見もあるだろうが、昨季のオリックスのようにオープン戦からペナントレース終了までずっと低迷してしまうこともあるので、やはり春先から調子がいいに越したことはない。
その観点で見るとロッテと阪神が、ペナントレースの台風の目になりそうだ。開幕ダッシュにモタつくほかの球団を尻目に逃げ切り、というシーンがあるかもしれない。
次回の直前チェックでは、今季のカギを握りそうなロッテと阪神を追うチームを紹介していきたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)