シーズンのカギを握るといっても過言ではない外国人助っ人の起用法。球団別にその成否を診断していきたい。
(成績は9月6日現在)
■巨人の外国人投手
マシソン/ヤングマン/メルセデス/カミネロ/アダメス
■巨人の外国人野手
ゲレーロ/マギー/マルティネス
開幕前にはマギー、ゲレーロ、マシソン、カミネロの4人で決まりと思われていた巨人の助っ人陣。しかし、現実はそう甘くはなかった。
まず想定外だったのはカミネロの不振だ。20試合の登板で防御率5.79と失点シーンが目立ち、6月末に「上半身のコンディション不良」という「理由」で2軍降格。近日中に帰国予定で再来日の見込みはほぼないだろう。
頼みの綱であるマシソンはやや数字を落としたが、それでもWHIP1.02をマークし、安定感を見せていた。しかし、こちらも7月下旬に左ヒザを痛めて登録抹消。今季中の復帰は絶望的だ。
野手陣に目を向けるとマギーは期待の範疇に収まった。だが、持て余したのはゲレーロだ。4月こそ打率3割台をキープしていたが、5月からは大ブレーキ。打率.253、10本塁打に留まり、6月13日には初回に代打を送られ途中交代。ついに2軍落ちとなった。
さらに惜しいと思わせるのが、ヤングマンの活躍だ。7月にようやく出場機会を得るといきなり3連勝。外国人枠を埋めたかと思われたが、7月25日のヤクルト戦で左手に打球を受けて骨折。好事魔多しとはこのこと…。もっと早くから起用していれば…と思わせる活躍だったが、リリーフ陣が冴えなかった煽りも食った。
ただ、メルセデス、アダメスの活躍で何とか大惨事からは踏みとどまった。両者ともに育成上がりで今年の春までは「謎の外国人」に過ぎなかったが、しっかりと育てた「結果」といっていいだろう。
欲を言えば、マルティネスがブレイクしなかったのが残念。2軍で若手外国人野手をもっと育成してもいいのかもしれない。
■阪神の外国人投手
メッセンジャー/ドリス/マテオ/モレノ/呂彦青
■阪神の外国人野手
ロサリオ/ナバーロ
阪神の外国人枠の基本線はメッセンジャー、ドリス、マテオ、ロサリオの4人。
マテオが右肩の不調もあって不透明だが、藤川球児、桑原健太朗、ドリスの勝ちパターンができており、リリーフ陣の駒は足りている。保険のモレノも8試合で防御率2.70だが、残留となっても無理をして起用する必要はないだろう。
問題は期待を裏切ったロサリオなのだが、ここでロサリオをあげつらっても仕方ないので、あえて言及しない…。マテオが健在ならスッパリとロサリオを切れたかもしれないが…、難しいところだ。
気の毒だったのはナバーロ。メッセンジャーとドリス以外はどう起用しても支障のない外国人枠でロサリオと併用され、さらには一塁、中堅、左翼とポジションもコロコロとチェンジ。波に乗るきっかけをつかめなかった。
外国人選手の4枠を使い切らないのは本当にもったいない。結局、三塁は大山悠輔と鳥谷敬が共倒れの様相。三塁を守れる助っ人がいたなら、もっと多くの勝ち星を稼げたのではないだろうか。それこそ、ブロワーズ、ハートキー、エバンスなど、2000年前後に「ダメ助っ人」と呼ばれた選手たちのほうがOPSは幾分かいいのだ…。
先発投手の不在も気になる。今年もメッセンジャーが勝ち頭になっているが、もう37歳を迎えた大ベテラン。才木浩人らが頭角を現し、結果オーライではあるが、先発にもう1枚、助っ人がいれば助かる場面も多かった。
マテオの離脱、ロサリオの不発は読み切れなかったかもしれないが、不測の事態に備え、若手助っ人を育てていくのも手だろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)