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三冠王の息子は都市伝説、火消しの娘はアイドル、猛牛軍団の血を継ぐ女優。元プロ野球選手の子どもたち

 プロ野球は日本スポーツ界における最高の人気スポーツ。高い技術がぶつかり合う「華やかな舞台」は見る者を惹きつけてやまない。そして、プロ野球と同じく「華やかな舞台」でファンに夢を与える世界がある。それは芸能の世界だ。

 グラウンドとステージ。フィールドは違えども、その舞台に立てるのは一握りの選ばれし者のみ。

 その選ばれし者のDNAを継いだプロ野球選手の子どもたちには、芸能の世界で一芸を発揮し、活躍している人気者もいる。今回は元プロ野球選手を父に持つタレントのなかから、特に有名な3名を父親の成績とともに紹介したい。

カツラのCMで衝撃を与えた元祖クローザーの娘はAKB48の中心メンバー


 プロ野球選手を父親に持つタレント。そのなかには、今をときめくアイドルも多数存在する。

 2010年代に天下をとったアイドルグループといえばAKB48。彼女たちのなかには、元プロ野球選手を父親に持つ者が現役、卒業生を含め3名もいる。なかでも父娘ともに高い知名度を誇るのは、倉持明(元ロッテほか)と明日香の親子だろう。

 父・明はロッテ在籍時の1980年に18セーブを挙げ、リーグ最多セーブを記録。クローザーの草分け的な存在として活躍した。また、自らが出演したカツラメーカー、アートネイチャーのCMでも有名。薄くなった頭髪を惜しげもなくさらけ出し、ベースボールキャップのごとくカツラをかぶる姿は、お茶の間に衝撃を与えた。

 娘・明日香も生き馬の目を抜くアイドルの世界を生き抜いている。AKBに置ける最大のイベント・選抜総選挙では、第1回と第3回大会で、21位にランクイン。シングル曲のメンバーに名を連ねるなど、創成期から黄金期にかけての中心メンバーの1人として屋台骨を支えた。

 2015年にグループ卒業してからも舞台や、ドラマなどに出演。メディアへの露出は多く、卒業後も活躍している。

■倉持明の通算成績
206登板:17勝21敗/40セーブ/防御率3.40


猛牛軍団のスーパーサブは有名女優の父親


 プロ野球選手を父に持つ俳優やモデルなどに目をむけると、まず名前が挙がるのは吹石徳一(元近鉄)の娘、一恵だろう。

 父・徳一は、1974年のドラフト4位で近に入団。守備走塁のスペシャリストとしていぶし銀の活躍を見せた名手だ。引退後は近鉄のコーチ、楽天のスカウトを歴任。現在は社会人野球の強豪・日本新薬の監督を務めている。

 モデル・女優として人気を博す娘・一恵は、2015年に芸能界いちのモテ男・福山雅治と結婚、そして出産。世間を大いに賑わした。

■吹石一徳の通算成績
1020試合:打率.229/424安打/52本塁打/200打点

誰もがひれ伏す捨てゼリフは「うちの父ちゃんは三冠王だぞ!」


 ここまでに挙げた親子も有名だ。だが、筆者が独断において「存在感が圧倒的に違う!」と推したい親子がいる。それは落合博満(元中日監督)と福嗣の親子だ。

 父・博満の実績は今さら説明不要だろう。史上唯一、3度の三冠王を獲得。監督としても中日を日本一に導くなど、「野球の神に愛され過ぎた」球界のレジェンドだ。そして、息子・福嗣も父に負けず劣らぬレジェンドと筆者は見ている。

 稀代の三冠王の息子として幼少期よりテレビに出演することが多く、数々の「福嗣伝説」を作ってきた。テーブルの上で裸になり放尿したかと思えば、女子アナの髪を引っ張りながら「ぼくの父ちゃんは3冠王だぞ〜!」と絶叫……。破天荒なキャラクターで脚光を浴びた。その逸話の突き抜け具合から、いつしか「生ける都市伝説」という異名がつけられた。

 野球ファンのみならず、誰もが1度は「福嗣伝説」を耳にしたことはあるだろう。これほどの知名度と人気を得た野球選手の息子は他にいない。三冠王の息子は父親譲りの天才的センスの持ち主でもあるのだ。

 大学時代には、週刊誌上でコラムを連載し、自称「コラマー」として活動。読みやすく、ユーモラスな内容が評判を呼び、そのコラムをまとめた書籍の出版にも至った。ほかには、その美声を生かしCDデビュー。その多彩ぶりには驚かされる。

 数ある才能を見せてきた福嗣は、現在は声優として活躍中。元々アニメ好きで、学生時代から独学で学んできたスキルが本職への扉を開いたという。まさしく伝説の男らしい躍進ぶりだ。これからはどんな活動を見せてくれるのか。期待が高まる。

 野球界のレジェンド・落合博満。生ける都市伝説・落合福嗣。この2人こそ「究極の選ばれし親子」だ!

■落合博満の通算成績
2236試合:打率.311/2371安打/510本塁打/1564打点


 今回紹介した面々のほかにも元プロ野球選手の子どもたちが芸能界で活躍している。今後、筆者イチオシの落合親子を超えるスター親子が誕生するのか。大いに注目したい。


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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