ついに待ちに待った夏の甲子園が開幕。過酷な猛暑にも負けず球児たちは連日、熱き戦いを繰り広げている。
この時期、高校球児の熱戦の“裏”でもうひとつの戦いがはじまるのをご存知だろうか? それが“高校球児の卵”である中学球児の夢の舞台である「全日本少年軟式野球大会(全日本少年)」と「全国中学校軟式野球大会(全中)」だ。
高校球児の夢の舞台が甲子園ならば、中学球児の最高峰ともいえるのがこの2大会。中学軟式野球の頂点を目指し、全国の軟式クラブチームや中学校がしのぎを削る中学野球ファン注目の大会だ。
その開催を祝うかのように組まれたのが甲子園第4日の第4試合。明豊対仙台育英は中学野球ファンが喜ぶ好カードとなった。
明豊の付属校である明豊中は昨夏の全日本少年で準優勝の強豪。一方で仙台育英の系列校である仙台育英秀光中等教育学校は中学野球界では知らぬ者がいない今をときめく“旬”の強豪校だ。
クラブチームなど硬式野球出身の選手も多い中、明豊と仙台育英の2校は中学軟式で選手を育てているチーム。中学野球ファンとしては「あの中学軟式球児がついに甲子園に!」と感慨深くなる一戦だ。
2010年に全中に初出場すると強豪ロードを駆け上がり、4度目の挑戦となった昨夏の全中、圧倒的な実力で全国制覇を果たしたのが仙台育英秀光中等教育学校だ。
最強といわれた昨年の年間成績は「169勝5敗1分」。あまりの強さに全国の中学軟式野球界の話題をかっさらった。
須江航監督(32)率いる仙台育英秀光中等教校は「常に考える野球」を展開。相手のスキを見逃さないことやリードなどはもちろん、風向きすらも頭に入れる周到な野球は中学生離れしている。
『中学野球太郎』で選手全員に実施したアンケートでも「試合に勝つために大事なことは?」との質問に対し、最多の回答が「ゲーム性(戦術)の理解」だった。
常に相手を観察し、勝利に結びつける目は高校野球にステップアップしても大きな強みとなる。
仙台育英秀光は中等教育学校で6年制の過程のため、選手の多くは3年次に試験を受け、仙台育英高に入学する。甲子園でも「背番号1」を背負うエース・佐藤世那をはじめ、今夏は6人の選手が仙台育英秀光の出身。昨年の全中優勝メンバーである西巻賢二も1年生ながら、早くもベンチ入りを果たしている。
中学時代から培った野球脳、技術が甲子園でも発揮できるか。彼らの視線や行動も注目したい観戦ポイントだ。