プロ野球はオフシーズン。選手たちはシーズン中に溜まった疲労の回復に努め、来季に向けて鋭気を養いたいところだ。
しかし、この時期、毎年飛び込んでくるのは“不運なケガ”のニュース。
12月21日には宮西尚生(日本ハム)が、自宅付近で転倒して、右手中指を骨折。全治5週間のケガを負ってしまった。宮西は10月に左ヒジをクリーニング手術して現在リハビリ中。さらなる不運に歯がゆい年末年始を過ごすことになりそうだ。
1980年代の南海で主戦投手として活躍した藤本修二も、不運の餌食になった一人だ。
1984年、プロ2年目のキャンプ。前年は1軍登板がなかった藤本は開幕1軍を勝ち取るべく、猛アピールを続けていた。
ところが、不運は夕食後の散歩中に起こる。宿舎近くの公園を散策していた藤本は黒ネコを発見。しきりに鳴き声をあげ、人懐っこいネコに藤本は心癒され、ポケットに入っていたビスケットを人差し指に乗せてネコにあげようとした。
その刹那、黒ネコはこともあろうに藤本の指ごとガブリ!
商売道具である右手の指をネコの餌食にしてしまい、さらには傷口が化膿。1週間、投球練習ができなくなった藤本は開幕を2軍で迎えることになったうえ、「ニャンコ」とのあだ名をつけられ、赤面するばかりだったという。
ちなみに藤本は4月に1軍デビュー。この年、7勝を挙げている。
ソフトバンク不動のセットアッパー・五十嵐亮太も過去に不運に見舞われた経験を持つ。ときはヤクルト時代の2003年、シーズンオフの自宅で事故は起きた。
奥さんが体調不良で家事を手伝っていた五十嵐。食器類を洗っている最中、なんと誤って包丁が右手中指をザクリ。利き手の中指伸筋腱約3分の2を切る重傷で全治1カ月と診断された。
2007年3月にはソフトバンクに在籍していたリック・ガトームソンもキッチンでやらかしている。
オープン戦での登板を昼に控え、自宅で朝食の準備をしていたガトームソン。ナイフでチーズを切ろうとしたところ、誤って右手人差し指をスッ。
指先に5ミリの裂傷で登板回避となった上、事態を知った王貞治監督が激怒。開幕ローテーション入りが白紙になりかけた。
プロ野球選手ともなると大丸、三越、成城石井あたりで高級チーズを仕入れるのだろうが、万が一を考えればやはり刃物には近付かないほうがよさそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)