週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

《阪神・超変革を振り返る》北條史也が台頭。超変革はショートから始まった! そして来季はどうなる!?


 ショートだけは不動のポジションのはずだった。

 今シーズンの開幕前、金本知憲監督が掲げた「超変革」では、鳥谷敬が内野の要・ショートのポジションでチームを牽引する予定だったからだ。

 しかし、開幕から不振を極めた鳥谷は、いつの間にか、超変革の足かせとなっていく。連続フルイニング出場を続けるがゆえに、そのことがバッシングを浴びる要因ともなった。

 耐え切れなくなった金本監督が、ついに鳥谷をスタメンから外す決断をしたのが、7月24日の広島戦(マツダスタジアム)だった。

北條史也が実力で奪い取った


 内野の要となるショートの世代交代は難しい。

 特に鳥谷はキャプテンとしてチームを牽引する役目を担っていた。ショートから鳥谷を外すことは、チームを根底からひっくり返すことに他ならない。もちろん、それもまた「超変革」である。しかし、7月の段階でこれといった鳥谷に代わる選手は見当たらなかったことも、鳥谷外しの決断を鈍らせる原因になっていた。

 シーズン終盤、北條史也がショートのスタメンであり続けたことは、チームにとって、いや、金本監督にとっては救世主が現れたに等しい。

 北條は、打つ方でも守る方でも、夏以降メキメキとその潜在能力を発揮。結果的に大先輩の鳥谷をサードへと追いやった。

 元はといえば、鳥谷の不振から始まったこととはいえ、北條自身がセカンドやサードを経て着実にチャンスを生かし、しっかりショートのポジションをつかみ取ったことに大きな意味があるのだ。


着実に力を蓄えている植田海


 ただ、超変革はまだ始まったばかりだ。

 北條は今シーズン、「事実上のルーキーイヤー」として結果を残せたとはいえ、安泰ではない。

 守備力、走力では北條よりも上といわれる、3年後輩の植田海が追い上げてきているからだ。

 植田は第1回WBSC U-23ワールドカップの日本代表に選出。2番ショートで活躍し優勝メンバーとなった。走っては6個の盗塁を決め、盗塁王も獲得した。

 植田といえば掛布雅之2軍監督が、シーズン中から金本監督に推薦してきた選手。今季、スイッチヒッターに挑戦したのも、左打席から足を生かした攻撃を仕掛けるためである。

 まだ左打席でのバッティングはプロの域には達していないものの、「守備」「走塁」だけを見れば、現段階で1軍レベルに達している。その潜在能力は、北條のショートのポジションを脅かすものだ。

高いレベルでの競争こそチーム力を上げる


 北條にとって脅威なのは、植田だけではない。

 ドラフトで1位指名された大山悠輔は大学日本代表の4番を担ったスラッガー。大学でのポジションはサードとはいえ、「もっとも難しいポジションからチャレンジさせる」のがチーム方針であれば、春季キャンプでは北條のライバルの1人になるのは間違いない。

 また、今シーズン不振を極めた鳥谷もこのまま黙ってはいないはず。これまでの実績と経験、そして誰よりも練習に励む鳥谷であれば、来シーズン、再びショートのポジション争いに参戦してもおかしくない。

 これらショートのポジション争いは、セカンドやサードの競争に当然波及していく。各ポジションでベテランと若手が高いレベルで競ってこそ、チーム力は上がる。

 鳥谷の想定外の不振から生まれたチーム内競争。2016年の開幕前は不動であったはずのショートというポジションから、来シーズンは再び「超変革」が成し遂げられようとしている。


  文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方