■パ・リーグ投手:ブレイク候補@
田中正義(ソフトバンク)
2016年のドラフトで5球団強豪の末にソフトバンクに入団した田中正義。「大谷世代」の大卒の怪物、最速156キロのストレートと話題には事欠かず、まさに超鳴り物入りの大型ドラ1としてプロの門をくぐった。
それだけに昨季は期待されたが、3月に右肩の違和感で戦線離脱。ほぼ1年を調整で終えてしまった。評判からすると拍子抜けの感もあったが、元々右肩に故障を抱えていたので仕方ない部分もある。
今季のキャンプではB組となったが、対外試合で社会人の強豪・JX-ENEOSを相手に2回1失点、3奪三振とアピール。持ち前の能力さえ発揮すれば恐いものはない。今季はコンディションを整えて、怪物の名にふさわしい投球を期待したい。
■パ・リーグ投手:ブレイク候補A
藤平尚真(楽天)
昨季はルーキーイヤーながら8試合に登板して3勝(4敗)と、ドラフト1位の片鱗を見せた藤平尚真(楽天)。同期の高卒投手のなかで最初の勝利投手となり、やはり只者ではないと感じさせた。
さらなる飛躍が期待される2年目の今季。プレッシャーとの戦いもあるが、藤平にとって追い風となりそうなのが、横浜高の大先輩・涌井秀章(ロッテ)の存在だ。
涌井は2005年のルーキーイヤーこそ1勝(6敗)止まりだったが、2年目に12勝(8敗)と大ブレイク。名門・横浜高の血を継ぐ者として、藤平もぜひ涌井と同じ道をたどってもらいたい。
■パ・リーグ投手:ブレイク候補B
田嶋大樹(オリックス)
ドラフトにおいて社会人投手に目がないオリックスが、2017年のドラフトで白羽の矢を立てたのが田嶋大樹。“社会人ナンバーワン左腕”と評された逸材だ。
佐野日大高時代3年時にセンバツベスト4の原動力となった田嶋は、プロから注目されながらも体力不足を理由にJR東日本に進んだ。JR東日本では着実に実績を積み上げ、ドラフトでは2球団から1位競合指名。進路の選択が正解だったと自力で証明した。
ならば、あとは選んだ道を真っ直ぐ突き進むだけ。昨季、2016年のドラ1で、同じく“社会人ナンバーワン”と評されたチームの先輩・山岡泰輔は8勝(11敗)を挙げて名を知らしめた。田嶋は社会人時代に影響を受けた選手として山岡の名を挙げている。田嶋も山岡に続くブレイクを期待したい。
パ・リーグはほかに、堀瑞輝(日本ハム)、成田翔(ロッテ)、高橋純平(ソフトバンク)など、高卒の若手投手もネクストブレイカーとして控える。
有望な若手の層が厚いパ・リーグだけに、ここで名を挙げていない選手が浮上してくる可能性も十分。ノーマークだった選手が台頭するものプロ野球の醍醐味のひとつだ。今季、ブレイクする選手が誰なのか、楽しみにしたい。
次回はセ・リーグの投手編をお届け!
文=森田真悟(もりた・しんご)