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◎ 第二回 コメントで振り返る、WBC初戦&第2戦レビュー

<はじめに>
今回から始まったこのコーナー「侍JAPAN×2013WBC完全攻略法」。「週刊」の枠を外して、大会中不定期で更新して参ります。「攻略」の名の通り、日本代表が勝つためにはどうしたらいいのか? という観点からの記事も掲載していきますのでお楽しみに!


 遂に開幕した2013WBC。
 宿敵・韓国が初戦でオランダに負けたように、いきなり波乱含みの展開なのは皆さんご存知の通り。日本も初戦、比較的楽観視していたブラジル相手に苦しみながらの逆転勝ち。中国戦も決して楽勝と呼べる展開ではなかった。この2試合、選手・監督たちは何を考え戦っていたのか。印象的なコメントをランキングにし、試合内容とともに振り返ってみたい。

第1戦:3月2日 日本vsブラジル

[総評]日本、ブラジルに5-3で逆転勝ち……。序盤からペースを握られ続けた日本が終盤8回、井端弘和(中日)、阿部慎之助(巨人)の代打攻勢で逆転に成功。投手陣は田中将大(楽天)、杉内俊哉(巨人)、攝津正(ソフトバンク)がそれぞれ1点ずつ失ったが、能見篤史(阪神)、牧田和久(西武)のリリーフ陣が無失点に抑えた。一方のブラジル、代打・井端に左投手の仲尾次オスカル(Honda入社予定)を、阿部には右下手投げのケスレイ・コンドウを続投させるなど継投がチグハグ。この辺の選手層と采配の差が結果に結びついたと言える。だが、日本を土俵際まで追いつめた地力は、帽子の「B」の大きさ共々、日本の野球ファンに強烈なインパクトを残したのは間違いない。

■Best1 「初戦ってホントに難しいんですよ」(阿部慎之助)
 主将にもかかわらず、大事な初戦の舞台に立てない情けなさ、歯痒さ。だからこそのチームメイトをかばう気持ち――そんな阿部のモヤモヤが詰まっていたコメントだ。先月27日にケガをした当初は「日の丸にはいい思い出がないんだ。今回も……」と弱音を吐いていた阿部。そこから、個人としてではなくリーダーとして全体を見る発言ができるようになったのが、苦戦した中での功名ではないだろうか。「たくさんのプロ野球ファンが僕らを助けてくれました」とファンへのメッセージも忘れなかった。

■Best2 「打席に入る前、3人のことを思い出したんです」(井端弘和)
 劣勢だった日本を同点に導いた、代打・井端の芸術的なタイムリー。その井端が言及したのが、代表から落選した山井大介、浅尾拓也、大島洋平の中日勢に関して。井端には過去、アテネ・北京五輪とも予選では代表だったのに本戦には出場できなかった悔しい過去がある。それだけに、選ばれなかった者を思っての発言は、「長く野球をやってきて良かった」というコメントとともに好感が持てる。



■Best3「こんな投球ではこれから起用してもらえない」(田中将大)
 この日もっとも期待外れだったのが先発・田中。WBC球に適応できていないのか、調整不足なのかコントロールが定まらず、1次ラウンドの球数制限65球にも遠く及ばない、わずか23球での降板となった。田中に関しては各スポーツ紙解説陣も、「初回の投球練習からおかしかった」(鹿取義隆・報知新聞)、「肝心なところで打たれ過ぎ」(山田久志・ニッカンスポーツ)、とバッサリ。今後への影響も懸念される。

■場外編「願いとか祈りに近くなってきた。ホントになんとかしてくれと」(古田敦也)
 1点差を追いかける8回表の攻撃前、思わず漏らしたテレビ解説の古田敦也。視聴者も頷いたに違いないコメントのセンスはさすが。ちなみに、解説・古田と言えば「オッケーイ」がおなじみのフレーズだが、この試合では「よぉっしゃ」を連発。むしろ「オッケーイ」を使っていたのは工藤公康の方だった。「よぉっしゃ」と「オッケーイ」、どちらが流行語となるのか、今後のテレビ朝日にも注目したい。


第2戦:3月3日 日本vs中国

[総評]日本、中国を5-2で下して2連勝……日本は2回に中田翔(日本ハム)が先制打。5回には満塁のチャンスで糸井嘉男(オリックス)が走者一掃の二塁打を放ち4点を追加。9回に2点を失ったが、危なげない試合運びで2次ラウンド進出へ王手をかけた。この日はこれまで不調がささやかれていた先発・前田健太(広島)が被安打1のナイスピッチング。一方で稲葉篤紀(日本ハム)、長野久義(巨人)が2試合連続で無安打が続くなど、次戦に向けてまだまだ課題を残した。

■Best1 「雲の上の存在の立浪さんがずっと見てくれる。結果を残したかった」(中田翔)
 初戦の舞台に立てなかった男が、この日は先制打&2安打の大暴れ。代表最年少・23歳中田翔の活躍の裏には、宮崎代表合宿から二人三脚で打撃フォームの改良(上げていた足をすり足に変更)に取り組んできた立浪和義打撃コーチの存在があった。「まだ自分のモノにできていない」とも述べているが、その中での好成績に、今後のラッキーボーイとしての期待が高まる。

■Best2 「あのポジションは阿部さんにしかできないとみんなが思っています」(糸井嘉男)
 初戦で4番を務めた糸井。この日は阿部が先発復帰したこともあり、5番に座る。しかし、その中で巡ってきたチャンスに走者一掃の二塁打で見事に応えてくれた。一度は“日本の4番”に座ったからこそ、阿部の凄さを改めて知り、その上で打線として求められる役割を果たせた糸井は何とも頼もしい。

■Best3 「走れるキャッチャーを目指しているので。速かったでしょ?」(阿部慎之助)
 右ヒザのケガを抱える中、先発出場を果たした阿部。周囲の不安を払拭するかのように、5回一死満塁の場面で、一塁から本塁まで激走し、ダメ押しとなる5点目のホームを踏んだ。この回の攻撃では先頭打者の松田宣浩も全力疾走で内野安打を勝ち取り、ビッグイニングへとつなげている。解説・工藤公康も「前向きな姿勢がにじみ出た走塁」と手放しで褒めていた。いずれにせよ、「全力」「足をからめる」は今後の日本には外せないキーワードであるだろう。

■場外編「稲葉さんもいるので安心できます」(中田香織)
 この日、スタンドで見守ったのが中田翔の母・香織さん(48歳)。息子の活躍の裏には、同じ日本ハムで信頼している稲葉の存在があるという、母親ならではの謙虚なコメントを残している。中田も1月15日に長女が生まれ、親になったばかり。子を想うパワーで、さらなる活躍となるか!?


今後の展望:

 日本の次戦は6日のキューバ戦。その試合を待たずとも、今日4日のキューバvs中国でキューバが勝利すれば、日本の2次ラウンド進出が決定する。1次ラウンド65球の球数制限は2次ラウンドからは80球。より先発投手の責任が大きくなるだけに、投手陣の柱をどうするのかに注目が集まる。
「私がコーチなら2次ラウンド初戦の先発は攝津か能見」(森繁和・スポーツニッポン)、「2次ラウンドからは『使える』『使えない』ピッチャーをしっかり見極め、絞り込んで起用していく必要がある」(山田久志・ニッカンスポーツ)……仮にキューバ戦前に2次ラウンド進出が決定していたとしても、投手陣の今後の占うためにも注視すべき点は多いだろう。

※次回の更新は3月4日の夕方です。
◎ 第一回 2013WBC日本代表メンバー発表とみどころ
◎ 第二回 コメントで振り返る、WBC初戦&第2戦レビュー(今回)
◎ 第三回 3.6キューバ攻略大作戦!<ベスト5>


今後の“侍JAPAN”の試合スケジュール
<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 第1ラウンド プールA>
Game 6 3月6日 19:00 WBC第1ラウンド vs キューバ @ヤフオクドーム

<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 第2ラウンド プール1>
Game 1 3月8日 12:00 (B組1位or2位)vs(A組2位or1位)@東京ドーム
Game 2 3月8日 19:00 (A組1位or2位)vs(B組2位or1位)@東京ドーム
Game 3 3月9日 19:00 (Game 1 敗者)vs(Game 2 敗者)@東京ドーム
Game 4 3月10日 19:00 (Game 1 勝者)vs(Game 2 勝者)@東京ドーム
Game 5 3月11日 19:00 (Game 3 勝者)vs(Game 4 敗者)@東京ドーム
Game 6 3月12日 19:00 (Game 4 勝者)vs(Game 5 勝者)@東京ドーム
※プールA(日本、キューバ、中国、ブラジル)の上位2チームとプールB(韓国、オランダ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ)の上位2チームがダブルエリミネーション方式(2敗した時点で敗退)で争う。

<2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 決勝ラウンド>
3月18日〜20日(日本時間) @アメリカ・サンフランシスコ AT&Tパーク

イラスト=ながさわたかひろ/ヤクルト芸術家。昨年のほぼ全試合、ヤクルト戦をイラストに起こした。それが1冊にまとまった『プロ野球ぬりえ2012全記録集』を作成。ブログやTwitter→@t_nagasawa
文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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