【2017夏の高校野球】《石川観戦ガイド》有望選手と大会展望＆地区勢力ピラミッド

2017/6/30

破格の潜在能力・清水は大台到達なるか
上位校に君臨する強打者の逆襲も見たい

投手編　～清水の伸びしろを要チェック！～

【2017夏の高校野球】《石川観戦ガイド》有望選手と大会展望＆地区勢力ピラミッド

　ヒジの故障の影響から救援登板がメインだったプロ注目右腕・清水力斗（星稜）。春季県大会決勝で1年ぶりの先発登板を果たしたが、3回1/3で降板。スピードはあっても球が高めに浮き、変化球を痛打された。潜在能力は揺るがないものの、克服すべき課題はある。夏に見せる成長度でドラフト順位は大きく変わるだろう。2年生の竹谷理央（星稜）も評価は高い。昨夏の甲子園での好投のように、ロングリリーフもでき、どんな場面でも投げられる高いポテンシャルを持っている。
　金沢の“三本の矢”は向井蓮、大筆一輝、今村優太という左腕トリオ。中林祐介コーチ（元阪神）の指導が浸透し、グングン成長してきた。タテスラが武器の向井は、どんなピンチにも向かっていく勝負度胸がある。打てそうで打ち崩せない大筆にも期待したい一方で、より一層の奮起を願うのはエース・今村。そして、まだベンチ外ではあるものの、打者をキリキリ舞いにするストレートをもつ松山天優も魅力的な投手だ。
　あと一歩でセンバツを逃した佐渡裕次郎（日本航空石川）は鋭いスライダーが冴え渡る。研究されても、修正できる能力を備える高校生はなかなかいない。西川英志（寺井）は低めへのコントロールが抜群で、リズミカルな投球で打者を翻弄する。
　経験豊富な斉藤祐二、宮浦一輝（ともに小松大谷）、気迫が前面に出る濱本大志（鵬学園）、心の教育で躍動する左腕・高田倫彰（金沢商）、腰回りがガッチリして馬力ある江林直樹（津幡）、打球への素早い反応を見せる城川圭太（石川高専）、マウンドでの威圧感と風格に不気味さを覚える内山亮（野々市明倫）といった投手たちの一泡吹かせる成長にも期待したい。

野手編　～“石川劇場”を展開する実力者～

　一冬を越えて金沢に面白い打者が揃う。春季県大会での起死回生の一打が印象深い尾形裕太郎。長打と単打を打ち分ける器用な4番だ。森下恋太郎は遠くへ飛ばせるスイングとツボを持っている。夏も相手を飲みこむ一撃に期待したい。寺田優也のバットコントロールは神業といっても過言ではない。
　木倉朋輝（星稜）は対応力高い打撃で快打を連発。メンタルも強い強打者だ。他にも星稜には野手が粒揃い。責任感の強い県内ナンバーワン捕手は川岸正興。マスク越しからの洞察力を配球と打撃に生かす。打撃も光る竹谷理央に、中堅手の鯰田啓介は安心して見ていられる守備の要だ。
　日本航空石川には1年時から主軸を任され、勝負強さが光る上田優弥がいる。鋭いライナーで外野を抜ける長打も必見。小松大谷の強力打線を牽引する3選手も見逃せない。破壊力ある豆タンクの竹中栄彰、コンパクトな振りで鋭い打球を飛ばす中村崇良、パワフルな打球の柴山大輝と三者三様の個性が光る。田島大輔（北陸学院）の上から力強く叩けるスイングや、一谷拓磨（羽咋）の懐の深い構えは好感。シュアな打撃の入口颯太（金沢桜丘）、巧みなバントで揺さぶる北山愼士郎（野々市明倫）、振り切る力のある的場誠弥（七尾）も頼もしい。いぶし銀・岩永渉（鵬学園）や全身を使って鋭く振り抜ける新谷歩夢（飯田）も成長株だ。

大会展望　～課題克服が勝利のカギを握る～

“城下町の早慶戦”といわれる、金沢対星稜の春季県大会決勝はスタンドも盛り上がった。金沢は投手陣の安定感が増せば6年ぶりの聖地が見えてくる。星稜はリードされた展開での打撃が勝負の分かれ目か。歯がゆい展開が多い日本航空石川だが、実力は十分にある。打撃に自信を持つ小松大谷や熱血指導で毎年チームを立て直す津幡らが追う存在だ。米林イズムの北陸学院、感謝の気持ちがプレーに表れる金沢商などの快進撃にも期待したい。遊学館もこのままでは終われない。