強化試合の初戦となった2月25日のソフトバンクとの一戦では、無得点に抑えられた侍ジャパン。ソフトバンクも2点止まりだったとはいえ、その2点を「主力以外でもぎ取った」というところに意義がある。
先制打を放った塚田正義は、2011年のドラフト3位で入団した強打の外野手。昨季はファームで打率.305、8本塁打、50打点、11盗塁と爆発したが、柳田悠岐らレギュラー陣の厚い壁に阻まれ、1軍での出場は1試合にとどまった。
だが、強化試合で2安打1打点1四球と結果を残したことで、今季は1軍でも活躍しそうな気配が漂う。
ほかにも高卒5年目の真砂勇介が、先制点のきっかけとなったチーム初ヒットを打ってアピール。高卒7年目の牧原大成も追加点を奪うタイムリーを放つなど、1軍で41試合出場した昨季を上回るための準備は万全と言えそうだ。
直前に行われた台湾代表との壮行試合2戦目に初勝利を挙げた侍ジャパン。続く阪神戦にもきっちりと勝って調子を上げたかったが、結果には2対4と、返り討ちにあった。
阪神勝利の要因となったのは、北條史也、高山俊、原口文仁、板山祐太郎といった金本チルドレンの活躍。初回から侍ジャパンの先発・武田翔太(ソフトバンク)に襲いかかると、2回までに3点を挙げた。
そしてドラ1ルーキー・大山悠輔も、最初の打席で二塁打を放つなど貢献。サプライズ指名と言われたが、昨秋の金本知憲監督の決断が間違っていなかったことを証明し、孝行息子の輪に加わった。
「超変革」の大号令のもと、若手を積極起用してきた金本監督だったが、彼らも1軍の水に慣れて本来の力を発揮できるようになった感がある。このまま金本チルドレンがチームをリードする「猛虎」となれれば、阪神黄金時代の到来も夢ではないかもしれない。
ちなみに一連の強化試合、壮行試合のトリとなったオリックス戦では、侍ジャパンに5対3で軍配が上がった。
しかし、オリックスも収穫は十分。西野真弘と安達了一の1・2番コンビが藤浪晋太郎(阪神)の立ち上がりを叩いて1得点。そこから売り出し中の吉田正尚が追加点を奪うタイムリーを放ち、理想的な形で初回から2点を挙げた。
調子が上がりきらない侍ジャパンとはいえ、若手野手中心のソフトバンクと阪神が勝ちきったのはたいしたもの。若鷹と若虎が元気なソフトバンクと阪神の未来は明るい!
文=森田真悟(もりた・しんご)