■神村月光(滋賀学園)
昨秋の近畿大会で彗星の如く現れ、今春のセンバツでも活躍した先発完投型右腕。延長14回(昨秋の近畿大会準々決勝・報徳学園戦)を投げ切るスタミナ、成田時代の唐川侑己(ロッテ)を彷彿とさせる伸びのあるストレートで存在感を見せる。
今秋の公式戦では先発マウンドを棚原孝太に譲ることも多く、高いレベルで見たときに球のキレや球威、体格で見劣りする部分も少なくないが、球速アップや球種を増やしていくことができれば、ドラフト候補に名を連ねるだろう。
■西垣雅矢(報徳学園)
全国的にまだ無名だが、今秋の近畿大会で好投。一躍、関西地区で騒がれる存在となった。
180センチを超える体格から投げる角度のついたストレートは、初見で対応するのは難しい。緩急をつけるカーブでストライクを取れ、常に投手優位のカウントに持ち込むことができる。まだ底を見せておらず、今後のパフォーマンス次第ではドラフト上位候補に挙げられる可能性を秘めている。
■安田尚憲(履正社=写真)
「東の清宮、西の安田」。この世代の野手の勢力図を表すフレーズだ。安田尚憲は清宮幸太郎(早稲田実)と並び、高校生野手の二大スラッガーと目される右投げ左打ちの内野手。しかし、先の明治神宮大会では10打席続けて無安打。気負いすぎるきらいがあったものの、決勝の早稲田実戦では目の覚めるような一発を放った。
ボールを芯で捉えたときは、清宮をも凌ぐほどの破壊力を持つ。しばしば甘いボールを仕留めきれない課題はあるものの、三塁手の守備は高校レベルでは水準以上で、打撃以外でも見るべきところはある。より確実性のある打撃を身につけたい。
■岡田悠希(龍谷大平安)
関西を代表するスラッガーの一人。旧チームではセンバツでベスト4入りに貢献。下位に座り、圧巻の長打力で猛打・龍谷大平安の象徴的存在となった。
走力は標準クラスだが、補殺数や外野の頭を越える打球に対する反応にも非凡さを見せる。精神的に幼い部分が残るのか、好不調の波は大きい。タイプはやや異なるが、同校の先輩・高橋大樹(広島)に並ぶポテンシャルの持ち主だ。
■太田英毅、福元悠真(智辯学園)
今春のセンバツ優勝に大きく貢献した太田英毅と福元悠真。ともに最終学年を迎え、中心選手としてより大きな役割が期待される。
太田は二遊間を高いレベルでこなす溌剌とした守備が持ち味。緩急に惑わされない打撃センスも高い評価を受ける。また距離が長くなるほど爆発的なスピードが光る走塁も見どころだ。センバツ初戦・福井工大福井戦で、本塁生還の際に二塁走者ながら三塁走者を追い越しかけたランニングは、相手守備陣の度肝を抜いた。
福元は長打力が売りの強打者。右方向の打球でも飛距離が出るパンチ力は一見の価値あり。また速球自慢の投手に対し、あえて打席で投手寄りに立つなど、心理面で揺さぶりをかける「曲者的」な一面も持つ。
■猪田和希(神戸国際大付)
迫力あるスイングでボールを飛ばす右打者。今秋の近畿大会では複数のホームランを放ち、チームを準優勝に導く。来春のセンバツ出場を確実なものにし、新たなヒーローの誕生を予感させる。
強肩も売りで、捕手と外野手をこなす。捕手としてはリード面などにまだ経験が必要だが、ブロッキングを確実なものにすれば、プロ注目選手としての評価も上がるだろう。センバツで早稲田実と当たるようなことがあれば、清宮に対してどのような攻めを見せるのか。2人の対決が実現することも楽しみにしたい。
文=長嶋英昭(ながしま・ひであき)
東京生まれ、千葉在住。小学校からの友人が、サッカーのU-18日本代表に選出されたことがキッカケで高校時代から学生スポーツにのめり込む。スポーツの現場に足を運びながら、日本各地の観光地を訪れることが最大の生きがい。現在はアマチュアカテゴリーを中心にスポーツ報道の仕事に携わっている。